ファーストリテイリング傘下のユニクロが2月上旬から展開している「スタイルアップインナー」の売れ行きが好調だ。発売1週間にして、すでに品薄になりつつあるという。

 今回提案したのは、姿勢をサポートするインナー。吸湿発熱素材の「ヒートテック」や、ブラカップ付きキャミソールの「ブラトップ」と、インナーでヒットを飛ばしてきたユニクロ、次の一手だ。

 売れる素地はできていた。じつは、このような姿勢に着眼したインナーは以前から存在し、注目を集めていた。たとえば大手下着メーカーのワコールは、2002年に“姿勢美”を追求した「シャキッとブラ」を発売。今年2月中旬には同シリーズの「シャキッとトップス」を新たに売り出している。

 ユニクロが20~40代の女性、450人に対して行ったインターネット調査でも、「ほぼすべての人がスタイルや姿勢に興味があるとの結果が出た」(ファストリ)。

 加えて、スタイルアップインナーでは、ユニクロの神髄である低価格での販売が実現されている。下着メーカーなどが手がける類似商品は、専門メーカーならではの品質のよさが望める。しかし価格は、前述のシャキッとトップスがユニクロの新商品(税込み1000円)の5倍程度してしまうなど、高くなることが多い。

 ユニクロの低価格実現の秘密は、「最適な素材を調達し、最適な工場で生産するというノウハウの蓄積」(ファストリ)と、大量一括発注にある。消費者が望む品質と価格のバランスを見極められることは、ユニクロ最大の強みだ。

 懸念すべきは品切れの可能性だ。今年1月、国内ユニクロの既存店売上高が6ヵ月ぶりに前年を割ったのも、冬物在庫の不足が原因とされる。希少性は消費者の購買の動機づけにつながるが、行き過ぎれば失望を買う恐れがある。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

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