「ストレステストの結果を、市場は用心しながら歓迎している」。英「ガーディアン」紙(7月27日付)は欧州の銀行に対して金融当局が実施したストレステストについて、そう報じた。市場の様子を的確に描写していると思われる。欧州金融システムに対する市場の疑念が今回のテストで完全に払拭されたわけではないが、春以降激しさを増した「欧州叩き」は、ひとまず幕引きとなった感がある。

 幸運なことに、テスト結果発表の前に、欧州では予想を上回る良好な経済指標が相次いで表れた。二番底懸念を和らげる「優しいそよ風」が吹いているあいだは、ユーロ危機の再燃は抑えられそうだ。

 先日、温家宝中国首相がメルケル独首相に、「ユーロは以前も今も今後も中国の外貨準備の投資先だ」と“支援”を表明したことも効いている。また、米政府支援住宅金融会社(フレディマックとファニーメイ)の巨大な不良債権に市場の関心が再び向かいつつあることも、欧州問題の深刻さの印象を和らげている(どちらがよりひどいかという相対的なものだが)。

 欧州各国の閣僚や中央銀行幹部は、結果発表前に楽観的な見通しを市場にさんざん吹き込んでいた。織り込みずみだったため、発表後の市場の反応は限定的だが、ニューヨーク市場ではスペインの複数の大手銀行が期間3ヵ月のドルの借り入れを一部再開できるようになった(金利はまだ高いが)。