よみがえった伝統校での世代交代
2021年の東京大学合格実績が17人と、同じく男子伝統校である芝(東京・港区)の12人を抜いた攻玉社(東京・品川区)では、一足早く昨年10月、快活な英語科教員の岡田貴之氏が教頭から新校長に昇格している。男子進学校の場合、東大合格者数が翌年の入試の志願者数を左右する傾向があるため、2022年入試では注目校の一つとなるだろう。
年々進学実績が向上している攻玉社は、東大合格実績47人の海城(東京・新宿区)や、1人差とはいえ栄光学園(神奈川・鎌倉市)を抜いた神奈川男子御三家の浅野(横浜市鶴見区)などの併願校でもある。今後はこれら難関ライバル校と肩を並べるべく、努力していくことになるだろう。
同じく男子伝統校で、長らく低迷していた成城(東京・新宿区)は、8年間にわたって校長を務めた栗原卯田子氏の下で、すっかり進学校としてよみがえった。そもそも男子校に女性校長ということ自体が珍しい。毎朝校門で生徒を出迎える姿は“成城の母”そのものだった。栗原前校長には、都立の名門校である小石川高校最後の校長であり、中等教育学校の2期生までを見送ったという顔もある。栗原氏はこの春退任し、教務主任、教頭を経て内部昇格した岩本正氏に後を託した。
成城は2018年を最後に高校からの募集をやめた。そのため、2021年から全生徒が中学入試を経て入った完全中高一貫校となる。岩本新校長の下、グローバル・リーダーを視野に入れた学校改革をさらに進めていくことになりそうだ。
15年前、創立100周年を機に千代田区富士見から江東区有明に移転、女子校から共学化して校名も変更したかえつ有明は、東京湾岸にある私立中高一貫校の先駆けである。東京農工大学学長も務めた2016年就任の小畑秀文氏から、この春、教頭の前嶋正秀氏にバトンが渡された。小畑氏の前任者が辞任したとき、前嶋氏は校長代行も務めたことがある。晴れて内部昇格した印象である。帰国生も多く、新しい学びにも積極的な学校だけに、2021年入試でも人気が高かった。