創立125周年記念事業での校舎建て替えも完了間近、出願者も増加基調の早稲田中学校・高等学校(東京・新宿区)

難関校の志願者数増減の分かれ目

 2月1日から東京・神奈川の一般入試が始まる。今回は難関・上位校について見ていこう。

 偏差値が上がると受験生も増える傾向にあり、東京・神奈川の男女御三家と称される入試は一度だけ実施され、中には1000人を超える志願者が例年集まる人気校もある。その多くはすでに出願が締め切られているので、実数を基に2020~22年の実績値と比較してみたい。なお、首都圏の私立中学で入試が一度限りの学校は20校ある。今回は、2022年入試の四谷大塚結果偏差値で60以上の入試を主たる対象とするため、弱含みの創価(1日午前)を除いた各校をここでは取り上げている。

 全体的な傾向として、コロナ下で3回目となる23年入試は、コロナ禍以前への回復基調にはあるものの、思ったほど難関・上位校全体では増えていない点がまず挙げられる。次に、早稲田・慶應義塾・明治はもとより、大学の付属・系属校が緩和傾向にある点だ。一世を風靡した付属校ブームはすっかり落ち着いたといえる。そして、コロナ下での21・22年入試では、学力不足もあって堅実な受験が目立ったが、23年入試では難関校へのチャレンジ傾向が復活している点が顕著にうかがえる。

 入試日程ごとに、男女受験生に分けて図表を作成した。図12月1日男子図22月1日女子について、22年の志願者数が多い順に並べてある。まずは男子の1日午前から見ていこう。
 
 1日午前に一番多くの受験生が集まる開成は、前年比83人増の1289人と、他を圧倒している。東京男子御三家でいえば、麻布は隔年現象で増減するが、今年は微減となった。コロナ下でも人気が続伸していた武蔵は、22年の実倍率3.5倍が敬遠されたのか、志願者数は20年と同数になっている。実倍率も3.1倍程度に回帰しそうだ。
 
 出願者数上位には男子校が並ぶ。早稲田は、1日第1回も3日第2回も続伸し、好調を維持している。完成間近の新校舎も、それに寄与しているだろう。同じ新宿区にある海城は、担当者の語り口に惹かれてか、学校説明会フェアでは人だかりが見られる。復活基調にある駒場東邦同様、お母さん受けがいいようである。

 早稲田大学高等学院はほぼ前年並み、募集定員をやや減らして男子約70人、女子約40人とした早稲田実業学校は、男子の志願者が年々減っている。慶應義塾の3校は、いずれも毎年のように志願者数を減らしている。1日の慶應義塾普通部は600人を割った。2日の慶應義塾湘南藤沢中等部も200人を割った。3日の慶應義塾中等部はすでに出願を締め切っており非公表だが、1000人台を維持できるかだろう。
 
 共学校の男子受験生は、28日で出願を締め切った渋谷教育学園渋谷(第1回)が続伸。1日午後の広尾学園(第2回本科)は、第2回本科が緩和傾向の一方で、第2回インターナショナルSGは大きく増やしている。その背景として考えられるのは、米アイビーリーグをはじめとする海外大学への直接進学が顕著に増えている点だろうか。

 1日午後男子は難関校の併願先として上位校がそろっている。多くは前日まで、中には東京都市大学付属のように当日13時まで出願を受け付けている学校もある。ということで、図1は確定値ではなく、1月30日午前9時現在に判明した数値であるが、前年実績と比較しながらご覧いただきたい。

 東京都市大学付属は、1日午前に第1回を新設したことで、難関男子校の併願先として人気の1日午後は第2回となった。II類は前年に届くか、I類はすでに届きそうと、勢いには少し差があるものの、両方合わせて22年志願者数1242人の97%に達している。新設された第1回はすでに300人を超えた。
     
 他には受験生の負担が軽い算数1科入試を、巣鴨(算数選抜)、世田谷学園(算数特選)、鎌倉学園(算数選抜)が実施している。いずれも31日まで出願を受け付けているが、世田谷学園を除けば、どこまで前年実績に迫るかが注目される。