受験者数増が顕著な首都圏
1月10日の埼玉から始まった2023年の首都圏中学一般入試が終わった。1都3県の小6人口は、ほぼ前年並みの東京を除くと微減傾向だったが、2月1日午前の受験者数は4万3016人と前年より2.6%増(2月17日現在)と大幅に増えている。
小6生の人数が増えないのに、受験生の数が大きく増えた例は04年にもあった。この時は、02年度から小中に導入された学習指導要領の「ゆとり教育」を見た児童が、そこから脱却するべく中学受験に多く参入した。今回はコロナ下における公立中学の対応を見た小学校高学年生が、公立中学への進学回避のため中学受験を選んだものと思われる。
このような受験者増で、ここ数年低調気味だった神奈川県の受験者数も19年の水準に戻している。東京からの受験生が増えた結果、1月の埼玉県も千葉県も全体的に好調だった。
埼玉では、10日と11日に日程を分割した栄東A日程の出願者数合計が7869人と最高記録を更新した。全日程合計では1万3842人が出願、1万2668人が受験している。大宮開成も10日午前の第1回の出願者数が2112人となり、全回ののべ出願者数合計も4491人に達している。20日からの千葉では昭和学院の伸びが目立った。
2月1日の入試解禁日の前、1月20日に、私立中学に通う生徒の保護者に年間10万円を助成する意向を都知事が示すなど、中学受験への追い風も吹いた。額としてはささやかなものではあるが、東京私立中学高等学校協会が以前から要求していたものだけに、その第一歩として今後につながるだろう。世帯収入格差が子どもの選択を狭めることがないように、という配慮である。
ここ数年の首都圏中学入試は、付属校人気がリードしてきた。23年入試で顕著だった傾向は、難関・準難関校に挑む動きが顕著に見えたことだろう。改めて、難関大学への進学を前提とした中学受験における保護者の強い志向がうかがえる。
難関・準難関校の私立中高一貫校は、首都圏では男女別学校が中心となる。受験生の親の多くを占める団塊ジュニア層は、第2次中学受験ブームの世代でもあり、自分の受験した時の経験がこうした志向に反映しているだろうことはおおいに考えられる。当時は、付属校の数は極めて限られていた。
難関・準難関校に限らず、23年は上位校から中堅校まで男女別学校は総じて好調だった。また、国際化を視野に入れたリニューアル校の人気も、改めて強烈に印象付けられることになった。