いつがその学校のピークだったのか
図には、21世紀に入ってからの各校の東大合格者数も載せてある。2001~20年については、5年ごとの合計値とした。その方が増減傾向をつかみやすいからだ。元の記事中では1980年からの数値を掲載してある。この40年余りの合格者数を比較すると、トップ進学校の栄枯盛衰を強く感じることができるだろう。そちらは誌面でご確認いただくとして、以下、大きな傾向をかいつまんで見ておきたい。
さすがにトップ10に名を連ねる難関校で、東大合格のパワーが下降気味というところは見受けられない。5年塊の合格者数のピークが、団塊ジュニア層が大学受験をした90年前後という学校は目に付くものの、そこから先もおおむね同程度の合格者数で推移している学校と、明らかに減少傾向にある学校とが、11位以下ではっきり見分けられる。
一つには、進学先の多様化があるだろう。東大でなくても、国公立の難関大医学部医学科を志望する層は確実に増加していたし、最近では海外大に直接進学する例も目に付く。もっとも、入学時期が半年ずれるため、東大に受かっても夏に中退して秋から欧米の大学という例はだいぶ以前から見ることができた。
あるいは地元志向の高まりである。この点については誌面上で詳しく取り上げた。のちに公開予定の記事でも触れていくが、特に関西で顕著な動きが、京阪神にある国公立大が最優先で、東大に多くを送り込むのは灘と10位「西大和学園」(奈良・河合町)くらいというのが実情である。
そして、単純に東大に合格させるだけの力が衰えてきたのではないかという学校も見受けられる。これも誌面上でご確認いただきたい。
共学校のランキングトップは9位の「渋谷教育学園幕張」(千葉市美浜区)で、西大和学園、ここにはないが11位「渋谷教育学園渋谷」(東京・渋谷区)と合わせて「共学御三家」とも呼ぶべき存在となっている。いずれも1980~90年代に創立もしくはリニューアルしており、21世紀になってから猛烈な勢いで伝統的な難関校の実績を追い抜いてきた。
特に西大和学園は、21~23年度の3年間だけで10年代後半の実績を超えている。京大合格者数と二兎を追っており、中学受験では関西圏トップクラスの女子が集まっている。このように、トップ進学校の新陳代謝は進んでおり、親世代の経験だけでは測りきれない進学校の姿を的確に捉えておく必要があるように思える。