
高橋洋一
第121回
財政制度等審議会が財政健全化計画に向けた意見書を麻生財務大臣に提出した。そこでは、政府(経済財政諮問会議)の検討案を「楽観的に過ぎる」としている。今回は、「楽観的」という点にしぼって批判しよう。

第120回
安保関連法案が今国会の大きな争点になっている。焦点は集団的自衛権の行使容認だが、これは国際的には常識だ。戦争に巻き込まれるという考え方があるが、むしろそのリスクを減らすものであり、コストの点でも安上がりである。

先日、大阪都構想を実現すべきという高橋洋一・嘉悦大学教授の主張に、藤井聡・京都大学大学院教授より反論が寄せられた。これに対し高橋教授が再反論を行う。同教授は、基礎的自治体の適正サイズの観点から「都構想は合理的」とする。

第119回
二重行政による大阪の交通インフラの遅れについて述べた前回に続き、今回は大阪の地下鉄の民営化を考える。東京と大阪の地下鉄の歴史から見ると、大阪では市営地下鉄の存在で民間の進出が妨げられたことが、大きな逸失をもたらした。

第118回
「大阪都構想」の賛否を決める大阪市民対象の住民投票が、27日告示された。焦点は、大阪市民の住民参加、府と市の二重行政の2点。特に後者は、インフラ整備の遅れをはじめとする巨大な経済損失をもたらしている。

第117回
今回の内容は、筆者が参議院の調査会で参考人として陳述した意見である。小泉政権と第一次安倍政権で経済政策等を担当した経験に基づき、財政再建の5つの方法を示した。重要なのは、その順番である。

第116回
連日世間を賑わせた大塚家具の株主総会。これを題材に、日本の株主総会が世界の中で“常識外れ”であることを示す。日程に関する単純な事実だが、実はそれがコーポレートガバナンス改革にも大きく影響するのだ。

第115回
足元で2%のインフレ目標達成が難しくなっていることへの批判がある。だがインフレ率伸び悩みの主因は消費増税であることが説明されていない。そもそも2%目標はガチガチのルールではなく、多くの人がその点を誤解している。

第114回
春闘が本格化する中、賃金動向に注目が集まっている。いつから賃金が上がるかは、雇用状況が完全雇用か否かに密接に関連する。今の失業率3.6%は、完全雇用か否か。否だとすれば、完全雇用となる失業率はどの程度か。

第113回
NHKの「預金封鎖」特集が話題だ。戦後行われた預金封鎖は、財産税とそれによる財政再建が目的だった。だが番組では財政再建の本当の解を言わなかった。インフレ目標による「マイルドなインフレ」である。

第112回
財務省は、2014年3月末時点の国の債務超過額は490兆円と発表した。資産総計653兆円は政府資産額としては世界一。中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きい。

第111回
ECBでも、量的緩和がカウントダウンになってきた。一応インフレ目標2%という数字はあるが、実際にそれからずれても何もアクションをとらないようだと、金融政策の効果も期待できなくなる。

第110回
市場の予想に反して世界的に株価が急落している。背景には原油安とギリシャ不安と新聞で書かれている。マスコミや市場関係者は、目の前の現象をひたすら追うが、経済理論がを活用すれば、将来をよりよく予想することができる。

第109回
トマ・ピケティ『21世紀の資本』を読んだ。700ページを超える本だが、経済学の専門書にありがちな数式の羅列もなく、歴史書の感覚で読める。本書のエッセンスは、膨大なデータを検証し、多くの国で格差が拡大していることを証明したことにある。

第108回
選挙は政策選択の品評会であると筆者は思っている。と同時に、マスコミの力量や経済学者、エコミストの過去の発言も検証される。それによって選挙期間中にいろいろなウソが暴かれていくのはいいことだ。

第107回
財務省を始めとする増税派の大好きな理論は「リカードの中立命題」。これによれば現在の増税も国債発行は景気に対しては影響を与えないということになる。だが、4月の消費増税は景気を悪化させた。だから、日銀の追加緩和は判断ミスのカバーショットなのだ。

第106回
安倍首相が外遊に出発した直後から、解散風が吹きまくっている。各党の現場は動き出したので、この風はもう止められない。気になるのは、アベノミクス開始前後の言説にも似た消費増税派の奇妙なロジックである。

第105回
消費増税で景気の減速が広く認識されるようになり、来年10月の消費増税を先送りする考えが出てきている。一方、増税の先送りは財政危機を招くとの意見も根強い。そこで「増税で財政再建できる」は大間違いで、増税しなくても財政再建できることを示そう。

第104回
アベノミクスの第3の矢である成長戦略・規制緩和は経済成長に寄与するか。成長会計を使って経済成長を要因分解し、要素ごとの寄与度を検証したうえで、成長戦略・規制緩和の位置づけをみてみよう。

第103回
国会が始まった。消費税再増税の決定も控え足元の経済状況が重要な争点だ。最近の麻生財務相の景気認識はツッコミどころ満載なのだが、野党やマスコミがその問題点を詰め切れなければ、政府は逃げ切ってしまうだろう。
