童門冬二
コロナ禍が長期化する昨今、日本のリーダーたちの資質が問われています。今の日本のリーダーには「何が」足りないのか。組織の中で「自分」を生かし、「人」を動かすにはどうしたらよいのか。歴史上のリーダーたちの身近な行動に注目してみると、そのヒントが隠されているかもしれません。そこで今回は、作家・童門冬二さんの著書で、15万部を突破したロングセラー『将の器 参謀の器』(青春出版社)から、誰もが知っている武田信玄の部下の育て方について抜粋紹介します。

戦国時代の部下はある意味で自由な時代だから、どんな価値観を持とうと互いに干渉しない。海千山千の曲者もいる。これを管理するためには、“情”一辺倒ではダメだ。時には“非情さ”も必要だし、さらに“合理性”もいる。そういう点でのリーダーシップや部下管理の達人は、何といっても徳川家康だろう。

「応仁の乱」「刀剣女子」など、近年“日本史ブーム”が到来し、あらためて歴史を学ぶ大人が増えている。歴史小説の第一人者でもある童門氏も、「一流の人は、歴史を“情報”として捉え、自分の生き方に役立てている」という。もはや「歴史=重圧感、固い」というイメージは薄れ、現代人にとって歴史は、自身を磨くツールとして変化してきているのかもしれない。そこで今回の連載では、『なぜ一流ほど歴史を学ぶのか』から、現代のビジネスマンでも生かせる、歴史上の人物における「リーダーシップの在り方」を紹介する。
