小久保隆泰
ポスターやチラシを配布して挑んだ初詣、スタッフより少ない参拝客の数に意気消沈するしかなかった。だが、あきらめるわけにはいかない。そんな窮地を救ったのは、シュンペーターのイノベーション理論と稲盛和夫の言葉だった。地方創生を目指す“ソーシャルベンチャー”の創業までの苦節とは。

「マンションタイプのお墓」や「スワロフスキーの御朱印」などお寺、神社のイノベーションを起こしつつあるELternalの小久保隆泰代表取締役CEOと、小久保CEOが通った早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)入山章栄教授の対談の後編。伝統的なお寺、神社の世界には日本の抱える問題が凝縮しており、その解決策として、誰もが学ぶべきさまざまな論点が提示された。

日本のすみずみで長年親しまれてきた、地域の礎となって来たお寺や神社。観光名所を除いてその多くは、資金難から存続の危機にある。ELternalの小久保隆泰代表取締役社長CEOは、早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)の入山章栄教授の教え子にして、自身がお寺の代表役員であり、お寺や神社のイノベーションや地方創成を目指す。「マンションタイプのお墓」や「スワロフスキー御朱印」など、同社が大胆な改革を手掛けた東京・谷中の観音寺で行われた、小久保CEOと入山教授の2人の対談の前編をお届けする。

寺社仏閣を日本の地域創生の中核に。寺社仏閣の事業支援に取り組むELternalの小久保隆泰氏と、経営学者・入山章栄による特別対談。お寺・神社改革の最大のハードルと、それを突破する秘訣とは?伝統産業で着実な成果を上げるその手法に迫ります。

20年で40%が消滅!?寺社仏閣改革の最前線。寺社仏閣の事業支援に取り組むELternalの改革現場に経営学者・入山章栄氏が潜入。売り上げを300倍にした手腕に迫ります。キーワードは「DX×お墓×観光」。伝統産業でイノベーションを起こす極意とは?

早稲田大学発ベンチャー企業・ELternalの小久保隆泰社長は、20歳で継いだ実家の寺院の墓地の販売を立て直し、檀家との関係も修復した。次は、人口減少に苦しむ地元熊谷市のために全国から観光客を呼び込み地元を活性化したい――。最初の試みとして2018年から新たに初詣開催を決意した埼玉厄除け開運大師・龍泉寺だったが、寺の役員は初詣開催に反対、地元での告知すら困難をきわめた。

日本には数百年、あるいは千年の歴史を超えるお寺や神社が多数あるが、檀家や氏子の減少で、存続の危機にあるケースも少なくない。早稲田大学発ベンチャー企業・ELternalの小久保隆泰社長は、20歳で実家のお寺の代表役員に就任し、経営再建を果たした。その経験から、今では世界遺産の寺院を含む寺社仏閣の事業支援を手掛けるまでになった。業界の革命児が苦難の道のりと、そこで得た経営観や信念を語り尽くす。
