日本には数百年、あるいは千年の歴史を超えるお寺や神社が多数あるが、檀家や氏子の減少で、存続の危機にあるケースが少なくありません。20歳で実家の苦境のお寺の代表役員に就任し、再建した経験から、早稲田大学発のベンチャー企業を昨年に創業。今では世界遺産の仁和寺を含む寺社仏閣の事業支援を手掛けるまでになりました。苦難の道のりと、そこで得た経営観と信念を知っていただけたらと思います。(ELternal代表取締役社長CEO 小久保隆泰)
クライアントには仁和寺、大聖院…
順風満帆ではなかった20歳からの日々
私が社長を務める株式会社ELternalは、2020年7月に早稲田大学内で生まれた創業1年にも満たないベンチャー企業です。経営学修士(MBA)の取得のため同大学の経営管理研究科に在学していた際に、大学の支援を受け起業しました。
事業内容は、ずばり「寺社仏閣をとりまく社会課題の解決」です。あまり類を見ない不思議な組み合わせに思えるかもしれませんが、「観光」と「お墓」の2本柱を事業領域としています。これらは現代日本において課題の根深い領域であるとともに、数少ない成長領域であると考えています。弊社のミッションは「日本に、感動を」――。観光とお墓にまつわる社会課題の解決を通じて、地域の人々や参拝客の「感動」を生み出し、未来に希望を持てる社会をつくっていくことを目指しています。
観光事業ではすでに、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された京都の仁和寺、観光情報サイト「トリップアドバイザー」の人気観光スポットランキングで上位にランクインする広島・宮島の大聖院など、日本を代表する寺社仏閣から多くのご依頼をいただき、事業のお手伝いをさせていただいております。 観光事業を通じて、日本の宝である寺社仏閣の魅力を世界中の人々に知ってもらうとともに、文化や芸術を後世に伝えるお手伝いができればと考えております。
お墓の事業についても、今までにはない日本初のサービスを現在準備中であり、今年度中のサービス開始を目指しています。
今でこそ知名度の高いお寺を含む寺社仏閣から声をかけていただけるようになりましたが、これまでは決して順風満帆ではありませんでした。会社設立からさかのぼること20年前。実家の寺を継いだ時、私の人生は、希望の光すら見出せない苦難に直面していました。