
奥田周年
昨年の秋ごろから、相続実務に関わる人たちの間でささやかれている“うわさ”がある。「相続税と贈与税が一体化する」「暦年贈与がなくなるかもしれない」といったものだ。年間1000件にわたる相続相談や相続税の申告に関わる筆者が、今後の税制改正の方向性によって相続のあり方が変わってくる可能性について解説する。

高額賃貸マンションの購入による相続税対策が、最高裁でも否認され、3億円を超える追徴課税が遺族に命じられた――。この判決が話題になっている。背景には、相続財産に対する課税強化があり、本件はその象徴的な事例といえよう。「タワマン節税」はなぜ最高裁でも認められなかったのか。税務当局が抜いた“伝家の宝刀”とは何だったのか。年間1000件にわたる相続相談や相続税の申告に関わっている筆者が解説する。

税務調査で特に細かくチェックされるのが、「現金」の存在だ。不動産と違って移動が容易な現金は、脱税の手段に用いられることも多く、税務当局もその行方には目を光らせている。多額の現金をめぐるどういった動きが、税務署から怪しまれるのか。年間1000件の相続税申告・相談に携わる筆者が、実例をもとに解説する。

超高齢社会を迎え、認知症患者が600万人を超える日本。そんな中、さまざまな家族で悩みの種となるのが相続だが、その対策の有効な手段として今、「家族信託」が注目されている。この家族信託とはどのような仕組みなのか。年間1000件の相続税申告・相談に携わる筆者が、実例をもとに解説する。

相続税の節税対策をきちんと行うことは重要だ。しかし、それだけでは不十分である。相続税を申告した後にやってくる「税務調査」の怖さを、多くの人は知らない。「税務調査は大金持ちや、脱税をしている人だけが気を付ければいい」という考えでは、突然の税務調査に慌ててしまい、結果として余計に税金を払わされる可能性も出てくる。年間1000件の相続税申告・相談に携わる筆者が、あまり知られていない税務調査の実態を明かす。

前回のコラム『「タワマン節税」もアウト?税務署が異例の判断を下した4つの理由』では、「財産評価基本通達6項(総則6項)」によって高額マンションによる節税対策が否認された事例を紹介した。今回は「もう一つの総則6項適用事案」と呼ばれる高額マンション否認案件を取り上げる。こちらも、行き過ぎた節税対策には「総則6項」という切り札をもって封じようという、税務当局の強い意志が感じられる判決だった。

相続財産を圧縮するため不動産を購入することは、広く知られている節税手法である。しかし近年、相続財産に対する課税はより広く、より緻密なものとなりつつあり、不動産もその例外ではない。そんな課税強化の流れを象徴する出来事として、二つの「高額賃貸マンション否認事例」を取り上げたい。いわゆるタワマンなどの高額賃貸マンションの購入による相続税対策が税務署に認められなかった例である。なぜ認められなかったのか。詳しく見ていこう。

資産家だけでなく一般家庭にとっても悩みの種となってきた「相続税」。相続財産を減らそうと生前贈与や不動産購入をしても、正しい方法でやらなければ税務署から目を付けられ、追徴課税を支払う羽目になる。年間1000件にわたる相続相談や相続税の申告にかかわっている筆者が、相続税対策の鉄則とありがちな失敗例について分かりやすく解説する。
