フォロー
鈴木文也
ホルムズ海峡の封鎖は、世界規模での熾烈な原油獲得競争の引き金を引いた。中央アジア産原油の国内優先供給という異例の決断に踏み切ったINPEXの舞台裏では、一体何が起きていたのか。本稿では、日本最大規模の石油・天然ガス開発企業であるINPEXの滝本俊明副社長に現場で下された緊迫の判断を振り返ってもらうとともに、激変する国際情勢下における今後のエネルギー戦略について話を聞いた。

水力と石炭火力の「二枚看板」を発電構成の特徴とするJ-POWER(正式名称:電源開発)が、2026年4月に新たな社長を起用した。大間原子力発電所の運転開始計画、政府公募案件で落札した洋上風力事業の推進など課題が山積する中、足元では脱炭素事業の方向転換の兆候がにじみ始めている。本稿では、新社長に就任した加藤英彰氏が描く、これからの発電事業に対する方針を聞いた。

#7
浜岡原子力発電所の基準地震動のデータ不正問題で第三者委員会の調査が続く中部電力。2016年から10年間にわたり社外取締役を務めてきた日本アイ・ビー・エム元会長の橋本孝之氏が、6月25日の株主総会で勇退する。不正の端緒からエスカレートしていった全期間に在籍していた橋本氏は、経営の監視役としての任務を全うしていたのか。引責の有無があいまいなまま去りゆく大物社外取への批判の声と、東京電力ホールディングスや関西電力との比較から中部電特有の「ぬるま湯ガバナンス」の病理を解剖する。

#6
ホルムズ海峡の封鎖長期化に伴う原油高という追い風で、石油元売り大手2社の2026年3月期の連結純利益は増益となった。その陰で両社は近年力を入れてきた脱炭素投資を縮小する動きを加速させている。各セグメント別のROA(総資産利益率)などから両社の本当の“稼ぎ頭”と“足手まとい”の事業を可視化。両社が脱・脱炭素という大転換を進める理由を明らかにする。

脱炭素の推進、化石燃料への再評価、AIの台頭――。近年のエネルギー業界は、地政学リスクの高まりやテクノロジーの急速な進展により、目指すべきゴールが刻一刻と変化している。エネルギーを巡る未来の世界はどのように変化するのか。本稿では、国際大学学長の橘川武郎氏とアクセンチュア素材・エネルギー本部マネジング・ディレクターの巽直樹氏が対談。激動する世界のエネルギー事情を徹底分析してもらった。

米国のイランへの攻撃をきっかけに中東情勢は急速に不安定化している。イランは米国への報復として要衝となるホルムズ海峡の封鎖に踏み切り、中東からの原油やLNG調達が事実上不可能となった。政府は「直ちに影響はない」とするがすでに資源価格は高騰しており、国民生活への打撃は避けられないだろう。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、米国とイランの軍事衝突が日本の家計に与える影響を解説する。

電力を固定価格で調達し、販売する利ザヤを収益源としていたエネトレードが経営不振に陥り、2025年10月に民事再生を申し立てた。この事態は、電力小売業界に大きな衝撃を与えている。債権額は約45億円に上り、すでに複数の企業が債権者であることを公表しているが、実は債権額の4分の1が、未公表のある大手新電力事業者に集中していることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。本稿では、その企業の実名と影響を詳報する。

中部電力が運営する静岡県の浜岡原子力発電所で立て続けに発生した二つの不祥事は、電力業界に激震を走らせた。不祥事の一因は原子力部門の規範意識の欠如とされているが、真の問題は中部電力が抱える構造的な歪みにある。本稿では、不祥事の真因と中部電を待ち受ける今後の苦難を掘り下げる。

中部電力の一連の不祥事を発端に、同社社長の林欣吾氏が、大手電力会社で構成される電気事業連合会(電事連)の会長職を辞任した。後任は現時点で未定とされているが、水面下ではすでに次期会長候補は1人に絞られている。本稿では、次期会長の最有力候補の実名を明かし、その選定理由を掘り下げていく。

原子力発電所のテロ対策施設整備に5年間の猶予期間を設ける制度を巡り、期間の延長を求める電力事業者と原子力規制委員会の間で議論が紛糾している。同じ議題が6年前にも俎上に載せられたものの規制委は要望を認めなかったが、切羽詰まった大手電力らが再び規制委に泣きついた。猶予期間を過ぎた場合、原発の稼働を停止することになるため原発事業者らは必死に懇願するが、原子力規制委は期間延長に対して慎重な姿勢を示す。6年ぶり2度目の議論の結果が今後の原子力事業の転換となる可能性がある。

石油元売り大手3社の2026年3月期中間決算では、2社の純利益が減益となった。原油価格の下落が業界全体に影響を与えたためだが、在庫影響を除くと独り負けとなる会社がはっきりと浮かび上がった。エネルギー業界ではカーボンニュートラル実現の一里塚として30年度までの目標を各社が掲げ、事業構造の転換を急いでいる。それぞれの経営方針が業績に表れ始めている一方で、脱炭素の揺り戻しや電力需要の上昇でカーボンニュートラルに向けたロードマップが揺れ動いている。

望ましい電源構成の実現を目指して、政府は年間の電力供給量5億キロワットアワー(kWh)以上の小売事業者を対象に毎年度、供給量に占める非化石電源比率の目標値を示している。資源エネルギー庁がこのほど公表した2024年度の結果ではほとんどの事業者が目標を達成する中、広く名を知られた中堅新電力1社だけが大幅に未達となっていたことが明らかになった。その理由を含め、業界内からは非難とともに制度そのものへの不満も漏れ聞こえる。
