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望ましい電源構成の実現を目指して、政府は年間の電力供給量5億キロワットアワー(kWh)以上の事業者を対象に毎年度、供給量に占める非化石電源比率の目標値を示している。資源エネルギー庁がこのほど公表した2024年度の結果ではほとんどの事業者が目標を達成する中、広く名を知られた中堅新電力1社だけが大幅に未達となっていたことが明らかになった。その理由も含め、業界内からは非難とともに制度そのものへの不満も漏れ聞こえる。(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)
2030年に向けた目標は
非化石電源比率44%以上
政府はエネルギーの安定供給や環境への負荷軽減を目指して、2009年に「エネルギー供給構造高度化法」を制定した。その後、30年の非化石電源の比率を原則44%以上とする目標が設定され、達成に向け20年度以降は、年間供給量5億キロワットアワー(kWh)の大手電力、新電力を対象に、非化石電源比率の中間目標値が定期的に示されている。
新電力のうち自前の発電設備を持たない、あるいは持っていても供給量を満たせない事業者は、日本卸電力取引所(JEPX)や発電事業者との相対取引を通じて電力を調達するが、電力市場では電力そのものだけでなく、非化石エネルギーにより発電した電力の価値を商品とした「非化石証書」の売買も行われる。この証書の獲得により目標となる非化石電源比率を増やしていくことが、前出の目標を達成するための主な方法だ。
エネルギーミックス実現の足がかりとするべく設けられた本制度に対し、ほとんどの事業者が目標達成を果たしている。ところが、電力業界の努力をあざ笑うかのように、超有名な中堅新電力1社の24年度(24年4月~25年3月)の達成率は散々な結果となった。
次ページでは、この中堅新電力の実名と、未達成の理由、そして厳しい台所事情について詳報する。







