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米国のイランへの攻撃をきっかけに中東情勢は急速に不安定化している。イランは米国への報復として要衝となるホルムズ海峡の封鎖に踏み切り、中東からの原油やLNG調達が事実上不可能となった。政府は「直ちに影響はない」とするがすでに資源価格は高騰しており、国民生活への打撃は避けられないだろう。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、米国とイランの軍事衝突が日本の家計に与える影響を解説する。(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)
首相「直ちに上昇しない」も
すでに資源価格高騰
2026年2月28日、米国はイランへの軍事攻撃を開始しイランの最高指導者アリ・ハメネイ氏を殺害、イランは報復措置として軍事組織「革命防衛隊」により世界の石油消費量の2割が通過するとされるホルムズ海峡を事実上封鎖した。これにより日本が中東から調達している原油や液化天然ガス(LNG)の運搬も途絶えた。トランプ米大統領はホルムズ海峡を通過するタンカーへの護衛も表明しているが安全性を担保できるかは不透明だ。
高市早苗首相は軍事衝突後の衆議院予算委員会で「電気ガス料金が直ちに上昇することはない」と言及した。主張の根拠は、第1次石油危機を契機に制定された「石油備蓄法」に基づき国内に備蓄された254日分の石油だ。ただ、戦争が泥沼化した場合、国内の経済活動への打撃は避けられない。
LNGについても状況は芳しいとは言い難い。日本のLNGの調達先で中東に位置するのはカタールで5%程度と数字の上では依存とまでは言えない。ただ、LNGには備蓄義務がない上、中東からの調達手段が絶たれた国による争奪戦も始まるだろう。
薄氷の上を歩かざるを得ない状況は指標にも表れ始めている。原油価格の代表的指標となるWTI原油先物価格は軍事衝突前日の2月27日時点で1バレル67.02ドルだったのに対し、3月5日時点では76.68ドルに高騰している。
こうした負の影響は現場にもじわりと侵食してきている。次ページでははるか遠くのホルムズ海峡封鎖が日本のエネルギー供給に与える衝撃を、現場の悲鳴と共に解説する。







