酒井 信
映画『国宝』では描かれなかった、梨園という「小さな水槽」で生きる歌舞伎役者たちの悲惨な末路
「歌舞伎役者の家系に生まれれば一生安泰」。そう思われがちだが、現実はまったく逆だ。梨園という閉ざされた世界では、舞台に立ち続ける以外の生き方を選べず、生活に困窮した挙句、身を持ち崩していく役者も少なくない。華やかに見える梨園とは、一度入ったら抜け出せない「小さな水槽」なのだ。映画『国宝』で描かれなかった、歌舞伎役者たちの行く末を追う。※本稿は、批評家の酒井信『吉田修一と『国宝』の世界』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

映画『国宝』のタイトルに込められたもう1つの裏テーマとは?【文芸評論家が解説】
映画『国宝』は、単なる歌舞伎役者の成功譚ではない。本作が浮き彫りにするのは、生きた人間が「国宝」と呼ばれる苦悩や、個人の欲望を削ぎ落とし文化を背負わされる宿命だ。人間国宝の在り方について考えていくと、映画『国宝』のタイトルに込められた裏のテーマが見えてきた。※本稿は、批評家の酒井信『吉田修一と『国宝』の世界』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

映画『国宝』で、女形が「からっぽ」とネガティブな言葉で評されたワケ
映画『国宝』で描かれた歌舞伎の世界。女形の立花喜久雄が「からっぽ」という言葉で評される映画のワンシーンや、女人禁制の掟などから、歌舞伎はもう時代にそぐわないとの批判も少なくない。だが、差別の名残りと片づけてしまうとその特異な深みは見えなくなる。『国宝』が、そして原作者の吉田修一が、女形を「からっぽ」と表現した真意とは?※本稿は、批評家の酒井信『吉田修一と『国宝』の世界』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

名作映画の興行権をたった500万円で中国に売却→観客動員1億4000万人の超大ヒットに「入場料の歩合にしていたら…」
日本映画史に残る名作として語られる『砂の器』だが、映画化の道のりは順風満帆ではなかった。脚本家からは「つまらない」と酷評され、松竹・東宝・東映・大映などの大手映画会社から企画を断られる毎日。なぜ、誰もが首を横に振った作品が、空前の大ヒットへとつながったのか。松本清張の運命を変えた、決定的な転機とは?※本稿は、文芸評論家の酒井 信『松本清張の昭和』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

「あんないい女が、清張に惚れるハズがない」今東光もやっかんだ松本清張の意外な女性遍歴
松本清張の作品に登場する女性たちは、タブーに触れ、復讐に身を焦がし、ときに悪事に手を染めていく。なぜ清張は、女性の狂気を生々しく描くことができたのか。清張の人生をたどると、これまであまり語られてこなかった女性との意外な関わりが浮かび上がってくる。作品世界を支えてきた、稀代の作家の女性遍歴に迫る。※本稿は、文芸評論家の酒井 信『松本清張の昭和』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
