最下層からの成り上がり投資術!
【第233回】 2016年10月4日公開(2016年10月4日更新)
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「最下層からの成り上がり投資術!」

著者・コラム紹介

最下層からの成り上がり投資術!

藤井英敏 ふじい・ひでとし

カブ知恵代表取締役。日興證券、フィスコ等を経て05年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「ザイ」をはじめ多方面に活躍中。

藤井 英敏

個人投資家が11月末まで様子見すべき理由とは?
日本株の懸念材料は「想定と実際の為替レート」、
欧米製造業の景気回復は日本株にとってプラスだ!

 10月3日(月)発表の日銀短観9月調査では想定の範囲内とはいえ、やはり企業マインドはあまり良くないということが明らかになりました。大企業製造業のDIは前回6、現況6、先行き6と低位横這いです。一方、大企業非製造業は前回19、現況18、先行き16と、悪化傾向が鮮明です。

 また、大企業製造業の経常利益計画の修正率がマイナス3.3%となり、前回大きく下方修正されたのに続いて再度下方修正されました。大企業非製造業も修正率はマイナス0.8%です。

 最大の懸念材料は想定為替レートと足元の実際の為替レートとの差です。

 事業計画の前提となっている2016年度下期の想定為替レート(大企業・製造業)は1ドル=107.42円と前回調査の111.36円から円高方向に大きく修正されたものの、足元の1ドル=101円アラウンドの実際の為替水準に比べると依然として大幅な円安水準を想定しています。

 このため、今後、ドル/円相場大きく円安に振れない限り、円高が輸出関連の製造業の収益を一段と下押しすることが危惧されます。当然これは、輸出関連企業の業績下方修正、及び日経平均株価のバリュエーション悪化に直結します。

 ただし、欧州の回復が加速し、9月の世界全体の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月比0.2ポイント上昇の51.0と、緩やかな改善となっています。

 ドイツが3カ月ぶりの高水準となり、フランスが7カ月ぶりの水準に持ち直しただけでなく、EU離脱を決めたことにより景気減速が懸念されていた英国が、9月は2014年5月以来2年4カ月ぶりの高さになりました。

 また、米国では9月のISM製造業景況感指数が前月から2.1ポイント上昇し51.5と、市場予想の50.4程度を上回り、景況感の分岐点である50を2カ月ぶりに上回りました。この欧米製造業の景気指数の回復は、世界景気敏感株の日本株にはめちゃくちゃポジティブなことです。

 このため、当面の日経平均株価は下振れリスクを内包しつつも、外部要因に支えられ底堅く推移する可能性が高いとみています。

個人投資家の日本株離れは深刻
日経レバETFも3カ月連続で取引高が減少

 ところで、市場関係者へのヒアリングベースでは、個人投資家の日本株離れは依然として深刻なようです。

 個人投資家向けに有料の銘柄情報を提供している、ある投資顧問関係者は「月次の売り上げは、今年に入って8月が最悪だったけど、9月は多少持ち直したとはいえ、まだまだ非常に悪い」とため息交じりに語っていました。

 また、対面営業の証券マンは、「日本株への顧客の関心は限りなくゼロに近い。このため、8月以降、米国株をお客さんに勧めています。だから最近、日本株はみていません」と苦笑していました。

 そして、ネット証券の動向に詳しい知り合いによれば、「ネット証券の個人口座の9割以上は儲かっていないのに、なぜかツイッター上では、株式投資関連のことを呟いている9割以上の人が儲けている感じになっていることに違和感がある」と笑いながら言っていました。

 なお、9月第3週(20日~23日)の投資部門別株式売買動向では、個人は2031億円を売り越しました。前週は1763億円の買い越しでしたが、2週ぶりに売り越しました。

 また、短期で値幅取りを狙う個人マネーの受け皿の代表格だった、日経平均株価の値動き2倍のETF「NEXTFUNDS 日経平均株価レバレッジ・インデックス連動型上場投信(日経レバ)(1570)」は、3カ月連続で商いが細っています。これらのことからも、個人投資家が日本株離れをしていることが分かります。

NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)チャート(日足・6カ月) *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより
拡大画像表示

日本株に先高観が強まれば個人投資家が株を買う
そのために海外投資家が買える展開になる必要がある

 個人投資家が市場に戻ってくるためには、日本株に先高観が強まることが必要です。

 そのためには、日本経済の先行きに明るさがみえてきて、家計が財布のひもを緩めて積極的に消費をし、企業が積極的に設備投資し始めて、国内全体の資金需要が発生し、その結果、銀行の貸し出しが伸びて、金利が緩やかに上昇し、期待インフレ率が高まらないといけません。

 しかし、実際は、そんなことは夢のまた夢の状況です。このため、当面は現状の相場環境(個人投資家が日本株に興味を失い、株離れしている状況)が続くことを覚悟しておく必要があります。

 これは証券会社や投資顧問にも当てはまります。相場格言に、「株屋殺すにゃ刃物はいらぬ、寄り引け同値ザラバなし」というものがあります。

 日銀の年6兆円ものETF買い入れで、ボラティリティが低位安定し、市場のダイナミズムが失われ、これを嫌気した投資家、特に海外投資が東京株式市場からドンドン逃げ出しているからです。

 これを裏付けるかのように、9月第3週(20日~23日)の投資部門別株式売買動向では、海外投資家は4週連続で売り越しました。日経平均株価やTOPIXに代表される株価指数に先高観が出るためには、海外投資家が買い越しに転じる必要があります。

 おそらく、彼らが売り越している間は、日本株が上昇トレンドに入ることはないでしょう。しかしながら、日銀の大量のETF買いがあるため、彼らが売り越し続けても、日本株が下落トレンド入りする確率も大幅に低下しています。だから、日本株のボラティリティが喪失したのです。同時に「官製相場」が完成しました。

11月中旬から年末には今よりマシになる
それまでは様子見するのもありだ

 こんな投資環境です。マジで儲け難いです。今、市場に残っている個人投資家は、専業のデイトレーダーや、セミプロ級の個人しかいないと考えます。

 多くの個人投資家は、2月の相場全体の急落、5月~6月にかけての新興ナイアガラとブレグジットショック、そして、7月のポケモンナイアガラで、退場したか、退場は免れたとしても致命的なダメージを負い、戦闘意欲を失い、ファイティングポーズを取れずにいると観測されます。

 もしあなたが、今市場に残っているプロ級の個人と戦うなら、「とにかく、リスク管理を徹底して売買してください。」としか言いようがありません。今まで以上にエントリータイミングを厳しくし、ロスカットや利食いも厳格且つ迅速に行う必要があります。

 なお、米国の大統領選挙が終わり、主力企業の第2四半期決算発表が一巡した11月中旬から年末にかけては不透明要因も減少し、今よりは戦い易くなると思います。思い切って、それまでは売買を見送り、「見(ケン)」するのもありでしょう。

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