6月2日の日経平均株価は、前日比317.25円高の2万177.28円でした。日経平均株価が2万円の大台を回復したのは、2015年12月1日以来、ほぼ1年半ぶりのことです。
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この日は、株価指数連動型の上場投資信託(ETF)に海外投資家の大量買いが入ったということです。また、信用で空売りしていた投資家や、先物やコールを売っていた投資家が慌てて買い戻したとの声もありました。
6月2日発表の雇用統計を受けて
NYダウも堅調に推移
海外投資家の日本株買いは、やはり、米国株式市場が強い動きを続けているからでしょう。米国株高で海外投資がリスクオンになっている、そう考えます。6月5日のNYダウは3営業日ぶりに反落したものの、前週末2日のNYダウは2万1206.29ドルと、前日に続いて過去最高値を更新しました。
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6月2日のNYダウの上昇の主因は、雇用統計を受けて、利上げペースが想定より緩やかになるとの見方が強まったからです。急激な利上げ、金融引き締めは、米株式市場からの資金流入を加速させ、株式相場急落リスクが高まるからです。
ちなみに、6月2日に発表された5月の米雇用統計では、失業率は4.3%と約16年ぶりの水準に低下しました。しかしながら、非農業部門の雇用者増加数が13万8000人と、市場予想の18万5000人程度の増加を下回り、3月と4月分が下方修正されました。また、賃金上昇率は、前年同月比2.5%にとどまりました。このため、FRBの利上げピッチは緩やかになるとの見方が強まったのです。
FRBは6月13~14日のFOMCで、3月に続く利上げを実施する見通しです。これについて市場は織り込み済みです。また、次の利上げは9月とみられており、2017年に3回の利上げが実現する公算です。
年内にこれ以上の利上げが実施される可能性が高まれば、米株式市場は動揺するでしょう。また、逆に利上げが2回にとどまるようなら、米国景気失速懸念から米国株は調整色を強める見通しです。
北朝鮮問題やロシアゲート問題など
外部不透明要因の影響は少ない?
それにしても、「北朝鮮問題」も「ロシアゲート」も、株式相場上昇にとって大きな障害になっていません。正直、これらを気にし過ぎた投資家は、足元の上昇相場を取り逃がした感があります。リスクを恐れるあまり、相場に手を出せず、機会損失を被った。そんな投資家が多そうです。
今週は、トランプ政権のロシア疑惑を巡り、米議会公聴会でのコミー前FBI長官の証言が6月8日に予定されています。また、英国では8日に総選挙が実施されます。3日に起きたテロ事件の影響で、与党保守党が大勝するというシナリオに不透明感が強まっています。
しかしながら、コミー証言も英国選挙も、これまでの経験則から、それほど気にする必要はないでしょう。当面は、これら外部不透明要因には、鈍感になるのが「吉」と考えます。
戦略的には「強気」でOK
ただし、5日移動平均線には注意
投資戦略的には、市場の想定通りなら「買い」、逆に、想定外のことが起こり市場が下がっても「買い」でよいでしょう。つまり、何が起こっても「買い」でよいと思います。
そのように「強気」を維持できる主因は、好調な企業業績を背景にしたバリュエーション面での魅力です。例えば、6月5日時点の日経平均株価の予想PERは14.32倍に過ぎません。これが20倍程度まで上がったら割安感はありませんが、現状の水準は欧米株式市場と比べても十分割安です。この割安感がある限り、海外投資家の日本株買いが継続する見通しです。
一方、この水準で売ってくる投資主体は、逆張りが大好きな個人でしょう。ただし、個人は新興市場銘柄に関しては買い越してくる可能性があります。実際、5月第4週(22~26日)の新興企業向け株式市場で、個人は19億円の買い越しと、2週ぶりに買い越しました。
この買い越しの背景は、6月以降のIPO(新規上場)銘柄の再開が、新たな資金の呼び水となり、新興市場の上値追いにつながるとみる投資家は多いことです。ちなみに、6月15日に東証マザーズに上場するビーブレイクシステムズ(3986)を皮切りに、6月は7社がIPOを予定しています。
老婆心ながら、新興市場を中心とした小型株投資では、大型株投資以上にリスク管理を徹底するべきです。
例えば、6月6日前場の値下がり率上位に、
・エムアップ(3661)
・ガーラ(4777)
・enish(3667)
・インフォテリア(3853)
・リミックスポイント(3825)
・ルーデン・ホールディングス(1400)
・ピクセラ(6731)
などがあります。これらのチャートをみれば分かりますが、上昇時に保有していれば、何もしていないのに資産が膨張する「天国」ですが、ひとたび、トレンドが逆向きになったときにも保有し続けていれば、あっという間に資産が収縮する「地獄」です。
私は、この「天国」と「地獄」の境界線は5日移動平均線とみています。つまり、5日移動平均線を上回っている間は「買い」、同線を割れたら「売り」と、判断すればよいでしょう。
「経済財政運営の基本方針」など
国の成長戦略に乗った「国策銘柄」に注目
なお、ここにきて、新興市場には柱になる物色テーマが見当たりません。最近までは、「仮想通貨」、「ゲーム」などの人気テーマがありましたが、そのリーディングストックのエムアップやリミックポイントが軟調展開となってしまいました。このため、当面の新興市場では、個別に材料が出た銘柄が物色される「個別株物色」の色彩が強まるでしょう。
このような相場では、1日だけ火柱高となる「一発屋」銘柄と、人気が数日続く銘柄に明暗がはっきり分かれます。当然のことながら、「一発屋」銘柄は避けなければなりません。
そのためには、乗る銘柄は「国策銘柄」に絞るべきでしょう。具体的には、政府は6月2日、2017年の「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」の素案をまとめましたが、これに合致する銘柄を選ぶべきです。例えば、「幼児教育や保育の早期無償化」、「子育て支援」、「働き方改革」関連です。
また、政府は5月30日に、人工知能(AI)やビッグデータを起爆剤に「第4次産業革命」を目指すことを柱にした成長戦略の素案を示しました。これに関しては、「人工知能(AI)」、「ビッグデータ」、「ロボット」、「自動運転」、「フィンテック」、「医療・介護の効率化」などが注目できます。
これらのようなテーマ性を有する「国策銘柄」だけを弄ることをおすすめします。ただし、5日移動平均線を割れたら、迷わず、躊躇せず「ポイ」しましょう。
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