週明け9月4日の日経平均株価は、前週末比183.22円(0.93%)安の1万9508.25円と、4日ぶりに反落しました。主因は、3日に北朝鮮が核実験を強行したことです。再び、朝鮮半島を巡る地政学リスクが高まり、換金売り圧力が強まりました。
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現時点では、実際に米朝の軍事衝突リスクは低いとみられているものの、リスク回避的な多くの投資家はブラックスワン(発生確率は低いが、実際に発生したら衝撃の大きい事象)を警戒しています。このため、9月4日の東京株式市場は、リスク回避的なムードが終日強い状況でした。
北朝鮮の核実験実行に対し
各国は厳しい対応を表明
朝鮮半島情勢に関しては、北朝鮮は9月3日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な水素爆弾の実験に成功したと発表しました。そして、韓国国防省は4日、北朝鮮がICBMと思われるミサイル発射に向けて準備を続けている様子が見られると明らかにしています。
金正恩氏は、核兵器研究所でICBMの弾頭に装着する水爆を視察しています。このため、次の実験は、擬似的な核弾頭をICBMに装着し、北朝鮮の建国記念日である9月9日に、グアム沖へ発射することが警戒されています。
一方、米国は、トランプ米大統領は9月3日、ツイッターで「北朝鮮とビジネスをする全ての国との貿易停止を検討している」と表明しています。また、国連安全保障理事会は4日、緊急会合を開き、北朝鮮の核実験を厳しく非難し、北朝鮮へのさらなる制裁強化について協議しています。
そして、韓国の宋永武国防部長官は9月4日、有事の際に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を直接狙う「斬首作戦部隊」を、今年12月1日付で創設し戦力化することができるとしています。さらに一部では、米軍は、ステルス攻撃を仕掛けやすいため、新月の夜に開戦時期を合わせる傾向があり、次の新月の9月20日に攻撃を仕掛ける可能性も一部で報じられています。
現在の先行き不透明な状態で
「火中の栗を拾う」必要はない
いずれにせよ、北朝鮮問題は混沌としており、先行きを正確に見通すことは一般ピープルには難しいでしょう。
よって、現在の市場に敢えて積極参加する必要性は乏しいと考えます。「あせるな 相場は明日もある」という相場格言を想起し、ここはまず、朝鮮情勢を見極めてから動くべきだと思います。特に、北朝鮮は地理的にわが国に近い上、米国の論理、韓国の論理に加え、中国、ロシアの論理が複雑に絡み合うため、一筋縄ではいきません。
たしかに、北朝鮮問題が片付けば日本株がガンガン上がる見通しなら、リスクテイクする価値はあります。しかし、現時点では、その問題が片付いても、今後ガンガン円安が進まない限り、日経平均株価の上値は限定でしょう。
実際、季節要因はあるとはいえ、8月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数増加幅、賃金の伸び率、失業率が揃って市場の想定よりも冴えませんでした。これでは、米国金利上昇期待は抱けず、円の対ドルでの先安観も強まることはないでしょう。
また、レーバーデーを明けの9月5日、米議会は夏季休会を終えて再開します。ここでは、2018会計年度の予算、及び、連邦債務上限引き上げが議論されます。現時点では、波乱なく月末に無事決着するというのがメインシナリオです。
その一方で、トランプ大統領は予算に選挙公約である「メキシコ国境の壁」の関連費用を盛り込むよう求めているため、紆余曲折は覚悟する必要があるでしょう。この米政治リスクの存在も、ドル安要因であり、日経平均株価の上値抑制要因といえるでしょう。
このことから、北朝鮮リスクが増大し不透明な投資環境の中で、敢えて、「火中の栗を拾う」がごとく日本株を買っても、その見返りは小さいと考えます。だったら、バーゲンハンティングのチャンスを待つべきです。
日経平均株価は、当面は弱気で
13週移動平均線と200日移動平均線に注目
日経平均株価の9月4日終値は、1万9508.25円です。13週移動平均線(4日現在1万9847.82円)、26週移動平均線(同19589.63円)を共に下回っています。ザックリ言えば、過去3カ月~6カ月に株を買った投資家は平均的に評価損を抱えている状況です。センチメントがいいはずがありません。
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一方、200日移動平均線(同1万9372.14円)はサポートとして機能中です。これを上回っている限り、一気に弱気に傾くこともないでしょう。
しかしながら、今後200日移動平均線を割り込むようだと、需給が一段と悪化し、下げ余地が広がるはずです。そうなると急落リスクが増大し、バーゲン発生確率が高まるでしょう。そして、思惑通り急落が発生したら、バーゲンハンティングを実行しましょう。
戦略的には、日経平均株価が13週移動平均線を上回らない限り、弱気でよさそうです。戻りは売り、下がっても売りです。ただし、13週移動平均線を超えたら、負けを潔く認めて撤収しましょう。
なお、当コラムでは、利益限定・損失無限の個別銘柄の空売りや、先物ショート、コール・オプションショートは、腕に覚えのある投資家以外は行うべきではないとのスタンスです。現状では、「熟し柿は取りに行くもよし落つるを待つもよし」との格言はあるものの、私は、今回の場面は「落つるのを待つべき」と考えます。
個別銘柄は、強い銘柄のみを残し、
弱い銘柄は思い切って切るべし!
個別銘柄に関しては、25日移動平均線と5日移動平均線を共に下回っている銘柄を保有し続けることは、樹海行きのバス乗り場への近道だと思います。銘柄への思い入れはあるでしょうが、現在のように相場が落ち着いているうちに、25日移動平均線と5日移動平均線を共に下回っている銘柄は早めに処分して、相場急落を虎視眈々と待つべきだと思います。
その一方、25日移動平均線と5日移動平均線を共に上回っている銘柄は強い銘柄です。全体相場が調整する中、このような強い銘柄には一極集中的に資金の流入が期待できます。よって、そのような銘柄は保有継続が「吉」でしょう。
とにかく、現在のような全体相場の調整局面では、「弱い銘柄を切って現金比率を高めるという、守りの戦略に徹する」か、「ポートフォリオを強い銘柄で埋め尽くすという、攻めの戦略に徹する」かの2択だと思います。
やってはいけない、最悪の選択は「弱い銘柄を持ち続けるという、座して死を待つ戦略」でしょう。
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