日経平均株価は堅調ながら、東証マザーズ指数に象徴される個人投資家の関与率の高い小型株は酷いことになっています。
主たる理由は、日経平均構成銘柄のような大型株には海外投資家の買い、新年度入りで株式の組入比率を上げたい国内機関投資家の買い、そして、下がれば日銀のETF買いが入る一方、小型株にはそのような買いが入らないからです。
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4月16日の日経平均株価は、前週末比56.79円(0.26%)高の2万1835.53円でしたが、東証マザーズ指数は同34.00ポイント(2.94%)安の1122.39ポイントでした。
個人投資家が強気に買い向かっている状況だが
早晩「セリングクライマックス」が来るリスクも
一部ネット証券の試算によれば、4月16日のマザーズ銘柄の信用買い評価損益率は、マイナス17.46%(前営業日比マイナス3.14ポイント)でした。一般的にこれがマイナス20%を超えて悪化してくると、追証絡みの投げ売りが出てくるとされています。
ちなみに、4月6日時点の信用買い残は3兆5918億円と、前週末時点に比べて348億円増えました。3月下旬に記録した10年半ぶり高水準の約3兆6700億円から大きく減っていません。
個人投資家は、今年2月以降の相場の調整局面は押し目買いのチャンスと判断しているのでしょう。強気に借金をして(信用取引を活用して)買い向かっています。
この強気の買いが今後、利食いという形で回転できれば最高でしょうが、そうではなく、評価損が膨らみ、最終的に耐えきれなくなり、ぶん投げさせられることになったら悲惨です。
足元のマザーズ指数の冴えない動きをみる限り、少なくとも、マザーズ銘柄などの小型株を信用で買い建てている投資家は、追証リスクを意識せざるを得ない状況とみておく必要があります。
現時点で、現金比率を高めにして、買いチャンスを虎視眈々と狙っている投資家については、もう少し買いは待った方がよさそうです。なぜなら、マザーズ銘柄などについては、早晩、高い確率で「セリングクライマックス」が訪れるとみているからです。
タイミング的には、小型株の決算が集中するゴールデン・ウィーク明けを想定しています。決算またぎのポジションを持ちたくない投資家が換金売りを急ぐ結果、小型株の需給が一段と悪化し、信用買い方の維持率が低下し、追証絡みの投げ売りが出るというのがメインシナリオです。
よほど自信がない限り
「決算またぎ」のポジションは避けるべき
ちなみに私は、個人投資家はよほどの自信・根拠がない限り、決算またぎでポジションを持つべきではないと考えています。内容が悪ければ嫌気売りでナイアガラ、良くても期待数値に届かなればナイアガラ、良くてもそれまでに株価が上がっていれば好材料出尽くしでナイアガラに巻き込まれることが多々あるからです。
腰を抜かす用なポジティブなものではない限り、上がらない。そんなイベントが決算だと思っています。
例えば、最近では、4月13日に決算発表を行ったロコンド(3558)が悲惨な値動きになりました。私の友人は、「ロコンドでコロンダ」と泣いていました。
2019年2月期の業績予想は、営業損失10億円(前期は3.26億円の利益)、経常損失9億円(前期は3.12億円の利益)、当期純損失9.04億円(前期は1.75億円の利益)と、営業損益段階から赤字転落の見通しです。
同社が喫緊の課題としている認知度向上を図るため、TVCMを含む積極的な広告宣伝を実施することが赤字見通しの主因です。前向きな先行投資なのですが、投資家はネガティブに反応しました。
ロコンドの4月13日終値は1454円でしたが、週明け16日は売り物が殺到、結局前週末比300円安の1154円ストップ安売り気配で取引を終えました。出来高はわずか2万6400株でした。この日、投げたいのに投げられなかった投資家が続出しました。
そして、4月17日前場には、一時894円まで下落する場面がありました。なお、17日は全株一致で寄りましたので、投げたい人は皆投げられたことでしょう。
それにしても、決算またぎをした結果、1454円が一時894円です。わずか2営業日で下落幅560円、下落率38.51%くらったわけです。10階建のビルの屋上から地面に真っ逆さまに落ちたようなダメージを受けたような感じです。このロコンドは特殊な例とはいえ、決算またぎはリスクが大きいのです。だから、決算またぎはするべきではないというのが、私の意見です。
安倍政権がいよいよ危ないときは
いったんすべての持ち株を現金化しよう
ところで、一部のメディアの4月13日~15日の世論調査で安倍内閣の支持率が26.7%と、第2次安倍政権発足以来、最低を更新するなど、各種メディアの世論調査で安倍政権の内閣支持率が軒並み低下しています。このため、政局リスクが強く意識され、日本株を取り巻く環境は非常に不透明なものとなっています。
万が一「アベノミクス」が終了ということになれば、現時点では、次の政権が安倍政権以上の「リフレ・成長路線」を打ち出す可能性が低い以上、日本株は急落する見通しです。
もちろん、政権が変われば、日銀の政策にも悪影響が及ぶでしょう。政治の世界は「一寸先は闇」です。今後、政局がどう動くのかはわかりません。しかし、いよいよ政権がもたないと、あなたが感じたなら、まずはいったん持ち株を全て売却し、現金だけを保有して新政権の政策を見極めることをオススメします。
とにかく、株式市場はインフレが大好きで、デフレが大嫌いです。積極財政が大好きで、緊縮財政は大嫌いです。円安が大好きで、円高が大嫌いです。自由貿易が大好きで、保護主義が大嫌いです。規制緩和が大好きで、規制強化が大嫌いです。減税が大好きで、増税が大嫌いです。
こういった原則をベースに、万が一、安倍政権が倒れたら、新政権が打ち出す政策をチェックしましょう。
新規の資金流入が見込めない今の市場では
「順張り」よりも「逆張り」で狙え!
なお、今のように、個人投資家の関与率の高い市場や銘柄群が冴えない値動きをしているときは、相場の体感温度は恐ろしいほど低下します。また、個人の活性度は著しく鈍化します。
市場への新規の資金流入が期待薄の難易度の非常に高い相場ですから、個人好みの銘柄を売り買いするときは、「順張り」ではなく「逆張り」に徹しましょう。なぜなら、現状のような相場環境では、高いところを買ってくれる相場の養分のイナゴは絶滅しているからです。
今は、機関投資家や大型株をやっている個人には特に問題ない相場ですが、短期売買を好む個人にとっては、非常に儲け難い相場です。短期売買で生き残っているのはプロ、セミプロだけで、彼らの基本は「逆張り」です。だから、今は彼らと同じように「逆張り」しないと死にます。私は、基本的には「順張り」を推奨しているのですが、それが上手くいくのは相場が良いときだけです。
また、こんな状況ですから、利食いはともかく、損切りはいつも以上に早めに行いましょう。個人投資家の関与率の高い市場や銘柄に関しては、当分、嫌な雰囲気に覆われ続けることを覚悟した上で、トレードするべきです。
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