Jリート(日本版不動産投資信託)研究の第一人者にして、専門サイト「JAPAN-REIT.COM」の代表者である関大介氏が、Jリートの注目銘柄を分析するこのコーナー。第2弾はアドバンス・レジデンス。不景気でも安定した収益が得られるレジデンス(住居)系リートの中で最大規模の銘柄だ。関さんが注目するのは、過去の合併で生まれた巨額の合併差益(負ののれん)。それはいったいどのようなものか?
リート市況は上げ潮! まだ上昇余地あり
まず全体の市況から申し上げます。Jリート市場は6月の下旬から急速に回復しました。Jリートの市況を測る指標、東証リート指数は5月上旬以来の950ポイント超えを果たし、7月5日の終値は961.76となっています。上昇の要因は、欧州の混乱が一定の収束を示したことで、外国人投資家の投資マインドが改善したためと考えられます。
投資家としてはさらなる上昇を期待したいところですが、前回の連載で記載したとおり、東証リート指数は900ポイントから1000ポイントのボックス圏で推移しています。この点で見ると、まだ上昇の余地はありますが一方で下落リスクを視野に入れておく必要があります。
Jリート最大の住居系銘柄
さて今回の注目銘柄は、分配金の安定性が高いアドバンス・レジデンス投資法人(3269)です(以下、ADRと略す)。伊藤忠商事をスポンサーとする銘柄で住居に特化して投資を行います。
価格:15万4100円(12年7月10日終値) 予想PER:19.4倍 配当利回り:5.84%
決算期は1月および7月ですので、今月(7月)の権利確定日(7月26日)時点で保有していれば分配金を受け取ることができます。
Jリートの資産規模ではADRは全体でも7番目、住居系では最大の銘柄となります。12年5月末時点の物件取得額は3679億円、賃貸可能戸数は1万6284戸となっています。住居系で次に規模が大きい銘柄は日本アコモデーションファンド投資法人(3226)の2319億円ですから、その差は1300億円もあります。ちなみに、Jリートで資産規模が最大なのはオフィス系の日本ビルファンド投資法人(8951)で、その物件取得額は8928億円となります。
ADRの旗艦物件は、「レジディアタワー目黒不動前」(取得額165億円)ですが、ポートフィリオ全体に占める割合は5%以下になっています。この他に100億円を超える物件は1棟しかありませんので、分散の効いたポートフィリオを構成しています。
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◆アドバンス・レジデンス投資法人(3269) |
◆日本アコモデーションファンド投資法人 投資証券(3226) |
◆日本ビルファンド(8951) |
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