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ジム・ロジャーズの2013年投資戦略(2)中国、ミャンマー、北朝鮮…これから有望な新興国はここだ!

2012年11月28日公開(2025年3月27日更新)
ザイ・オンライン編集部
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ジムが居住するシンガポールは、観光立国をめざし、急速な開発を続けている  撮影/和田佳久

ザイ・オンライン編集部は約4年6カ月ぶりに世界的投資家ジム・ロジャーズのシンガポールの自宅を訪れた。4年前には、サービスアパートだった彼の住まいは、今は近郊の高級住宅街の一軒家となっていた。前回から2回にわたって、ザイ・オンラインの独占インタビューによる、ジム・ロジャーズの2013年の世界経済予測、そして投資戦略を掲載する。

[参考記事]
世界的投資家ジム・ロジャーズが語った(1)2013年のアメリカ経済と通貨の行方を大予測!
 

―新興国に投資する際に必要な条件はありますか?

ジム・ロジャーズ  御年70歳。一貫して、米国経済の凋落を予測。早くから中国の成長に注目し、娘が誕生したことを契機に英語と中国語が学べるシンガポールに移住。自宅のプールサイドにて。  撮影/和田佳久

 新興国投資で成功するには、まずその国が原油、もしくは金、鉛などの鉱物か、肥沃な土地に恵まれた資源国であること、そして安価な若い労働力があることが重要な条件です。そして、投資のタイミングとしては社会主義から資本主義に移り変わる時期の国が投資対象として最高のタイミングですね。

―例えば、どの国ですか?

 例えば、ミャンマーですね。数年前から民主化の動きが見えていたので注目してきましたが、最近、私はミャンマーに投資を始めました。

 今まで軍に支配されていた資源や市場が民間に開放される方向に向かっています。これは言わば1978年、経済開放に向かった頃の中国のような大チャンスなのです。

 イギリスに支配されていた頃、当時ビルマと呼ばれていたのですが、ビルマはアジアで最も豊かな国で、日本や韓国よりも豊かだったのです。それが、1962年に軍事政権によるクーデターが起こって、社会主義国家になってからはあっという間に貧しい国になってしまいました。

 あれから50年が経ってようやく軍事支配から解放されたのです。これは、大チャンスです。

 ミャンマーは原油や鉱物などの資源が豊かで、7000万人の人口、教育を受けた労働者、安価で規律正しい労働者がたくさんいますので、新興国としての投資条件を満たしていますし、更に社会主義から資本主義に向かう『変化』が始まったという意味でもベストタイミングです。

 それに加えて、近隣にはタイや中国などの経済的に豊かな新興国もあるので経済活動の拡張もしやすいでしょう。

―例えば、ミャンマーのどの会社に投資されたのでしょうか?

 ミャンマーはまだ株式の取引所が無いので外国人がオープンには株が買えないという困難さもありますが、それでも一社に投資することができました。

 それは、シンガポールのSGXに上場しているYomaというミャンマーで不動産や農業、車のディーラーを行っているホールディングスです。

  数年前にYOMA.siを0.06SGD(シンガポールドル)で買いました。(2012年11月13日で0.55 SGD --すでに10倍近くに!--)将来的に、ミャンマーでも株の取引所が開かれれば、もっと投資をするチャンスが生まれるでしょうし、外資を惹きつけてますます繁栄していくでしょう。

編集部注: ヨマ・ストラテジック・ホールディングスという、ミャンマーで不動産や農業、車のディーラーを行っている会社で、シンガポール(SGX)に上場しています(ティッカーはYOMA、日本でも楽天証券で取引可能)

 

―他に注目されている新興国はありますか?

 次にホットなのは北朝鮮です。北朝鮮も2500万人の人口を有しているということ、資源国であるという条件を満たしています。

 安い労働力と資源は何にも勝る投資先ですし、中国もそれに目をつけて投資を始めています。北朝鮮はほんの数ヶ月前から中国に対して投資セミナーを開いていますので、チャイナマネーを取り込んで経済を拡張させるためにかなり積極的に動いています。

 私の予想では、ここから数年で北朝鮮は韓国に合併されて一つの国となるでしょう。そうなることによって、韓国の資源不足が解消され、安価な労働力で競争力のある生産増強が測れるし、北朝鮮にも経済的なメリットが得られます。

 この南北二つの国が合わされば人口は7500万人という大きな国になります。それは、日本にとって脅威かもしれませんが、これからこの国が経済開放に向かって行くという事実に目を向けるべきでしょう。

 ただし、まだ先日経済開放が始まったばかりなので、投資対象となるような会社もまだ設立されていないので、私自身はまだ投資はしていませんがチャンスはいつも伺っています。

―中国の指導者が変わりましたが、政権交代によって何が起こるでしょうか?反日運動は中国経済にマイナスに働くのでは?

 新しい指導者習近平になっても、これまでの中国の政策と大きくは変わらないでしょう。

 私は、中国が次の数十年、世界の大国として君臨すると見ていると著書でも言及しましたが、その考えは変わっていません。

かつて、中国大陸をベンツで走破した時の通行許可証。 撮影/和田佳久

 次に世界経済を握るのは、アメリカや日本ではなく、中国でしょう。もちろん、中国は反日運動を起こして中国国内の日本の工場を破壊したりしていますが、それは過去数百年起こってきたように一部の政治家が煽って、民衆は煽動されているだけです。そもそも中国人は日本の文化が好きですし、歌だって、ファッションだって漫画だって、日本のことはなんでもよく知っていますよ。小さな島々のことで戦わずに、中国とは良好な関係をキープするべきでしょう。

―どのように良好な関係を築いたらいいでしょうか?

 中国が尖閣諸島を問題にして争う原因は、そこに原油があると観測されているからです。

 もしも原油があるなら、共同で開発して利益をシェアするというのはどうでしょうか。中国の資本を取り入れて、日本が開発をして、そこから上がった収益を中国と分かちあえばいいのです。

 そうすれば、お互いWIN-WINの関係が築けるのではないでしょうか。これから台頭してくる大国と、手を組むべきであって、戦うべきではありません。

 私は娘たちに中国語を話せるように教育していますが、それは娘達が大人になった時に英語しか喋れず、アメリカで無職にならないようにするためです。

 日本人の皆さんも、今、アメリカから学ぶべきではありません。中国から学ぶべき時がやってきたのです

 私の考えでは、娘たちが中国語を話せるようになっておけば、将来、中国人とビジネスをして、親孝行な彼女らは父親の老後を見てくれるようになるでしょう。

 もちろん、娘たちは既に投資家で、スイス銀行に口座を持って商品や通貨に投資もしていますが(長女9歳、次女4歳)、私は娘を甘やかすつもりはないですし、将来、中国でチャンスを手にして欲しいと望んでいます。

―最後に、読者に成功へのコツをお願いします。

 投資をする前には宿題をするのが非常に大事です。

 まずは新聞を読み、雑誌を読み、貨幣の供給量を調べ、資源の受給も常に知っておくことですね。需給が価格を支配していますから、需給を知っておくことが、全ての物の将来価格を予想するうえで重要になります。

 そして、海外投資をする際には綿密な調査が必要ですから、投資先の国には必ず赴くことです。現地のことを知るには、ウェブや新聞だけでは不十分で、そこまで自ら飛んでいかないといけないんですよ。そこが例え、北朝鮮でもです。

 そして、忘れていけないのは、週刊ダイヤモンドと、ザイ・オンラインを欠かさず読むことです!(笑)

(構成/深田萌絵)

 

長女・ルル(9歳)と。  撮影/和田佳久

 

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