株ニュースの新解釈
【第90回】 2013年1月22日公開(2017年12月6日更新)
バックナンバー 著者・コラム紹介
保田 隆明

非上場の代表格・サントリーが満を持し株式公開へ!
なぜ今、上場? そして株は買いか!?

昨年は復活の兆しが見えてきたIPO市場だが、今年も引き続き上昇傾向と予測されている。その中でもひときわ注目を集めそうなのがサントリー食品インターナショナルによるIPOである。知名度、規模ともに申し分ない。果たしてこの株は買いなのか?

サントリー最大の子会社が上場する

 サントリーと言えば、キリンホールディングス(2503)との経営統合の話が記憶に新しい。もしサントリーホールディングスとキリンホールディングスが経営統合をしていたら、ネスレ、ダノン、ペプシ、コカコーラなど世界の巨大食品・飲料企業と肩を並べる企業が登場していたことになる。

 結果的には統合比率で折り合いがつかずに破談となったが、サントリーはその時点で上場企業に変身していた。キリンとの経営統合を協議し始めた時点で、サントリーは公開企業になることはタイミングの問題だったと言える。

 計画では、サントリーホールディングス(グループ全体の持ち株会社)の上場ではなく、その一子会社であるサントリー食品インターナショナルの上場でとなる。

 その関係と規模感は上図の通り。サントリーと聞くとウィスキーやビールを思い浮かべる方も多いかもしれないが、売上的には酒類よりも伊右衛門茶やなっちゃん、そしてオランジーナなどの清涼飲料水や食品による売上げのほうが大きい。そしてそれら清涼飲料水、食品などを扱う子会社を上場させるのである。

一般株主と創業家の利害不一致の可能性も

 サントリーホールディングスそのものは、株式の大半を創業家である鳥井家と佐治家が保有している。

 今回、子会社を上場させてもホールディングスに対する創業家の持分割合は変わらない。また、上場させる食品インターナショナルにしても過半数以上の株式は親会社であるホールディングスが保有し続けるだろうから、グループ全体に対する創業家の影響力は大きくは変わらず、引き続き「やってみなはれ」のサントリーであり続けるだろう。

 食品インターナショナルの経営陣は、理論的には上場することによって 新たに株主となる機関投資家や個人株主などいわゆる一般株主を含めた株主利益の最大化を目指すことになる。

 ただ、上のようなグループ構造が維持される限りはサントリーグループとして、あるいは創業家としての利益の最大化を目指すはずであり、少数株主となる機関投資家や個人株主にとっては、自分たちの利益最大化とグループや創業家のそれらが一致するのかは気になる。

 たとえば、先日コラムに書いた日立金属と日立電線の経営統合の計画では、計画案発表後日立金属の株価が大幅に下落したが、それは日立グループとしてはプラスの案件であっても一般株主にとっては望ましい案件とは限らないことを示している。このようなことがサントリーでも起こる可能性はあるわけで、それがサントリー株を買うべきかどうか迷う一つのポイントとなる。

 特にキリンやアサヒグループホールディングス(2502)では、以前は酒類を扱う企業と清涼飲料水を扱う企業がそれぞれ別々に上場していたにもかかわらず、両社ともに清涼飲料水を扱う企業を100%子会社化し、酒類事業とのシナジー創出に努めたことと比較すると、今回のサントリーの動きは逆行することになる。

 キリンでは、清涼飲料水事業と酒類事業とのコラボで酎ハイの大ヒット商品氷結果汁が生まれたのは有名な話である。アサヒでも株式を一部保有するカゴメ(2811)とトマト系のアルコール飲料を共同開発した事例もある。

 サントリーの場合は、欧州でオランジーナを買収して清涼飲料水事業を強化するなど、清涼飲料水事業、酒類事業がそれぞれ独自に強化していっているように見え、今回の食品インターナショナルの上場はまさにその一環とも言える。

 そういう意味では、経営戦略面においても、キリン、アサヒのアプローチとサントリーのそれの、どちらがベターなのか、今後の行方が楽しみである。

上場はグループも含め魅力を高める

 さて、今回の食品インターナショナルの上場は、食品インターにとってもホールディングス全体にとっても明らかに攻めの投資をするための上場であろう。

 食品インターナショナルにとっては株式発行により新たな資金源を得ることで、より積極的な投資が可能となる。株式交換によるM&Aもできる。

 ホールディングスは多額の売却益を得て、その現金をもとにグループ各社の成長投資を行うことができる。それによりサントリーグループ全体としての企業体力が増すことが期待できる。

 上場から生み出される数千億円規模のキャッシュによる成長投資は、まさに株主にとっては魅力的なエクイティストーリーとなる。幸い、オランジーナなどのサントリーの近年の企業買収には大きな失敗もなく、成長投資に対するイメージもよい。

 上で述べた創業家やグループ全体との利害不一致の可能性もあるものの、やはり成長投資の可能性が大きいことがサントリー食品インターナショナル株の魅力を高める要因である。

21世紀型のガバナンスが長期成長をもたらす可能性も

 近年は株主による短期利益追求による弊害が指摘されつつある。また株主と経営陣の利害一致を進めすぎた結果、経営陣が必要以上にリスクテイカーとなって、企業経営を破たん、あるいは非常に困難な局面においやる事例も出つつある。

 かつては、株主と経営陣の利害不一致が問題とされたが、経営陣は企業を経営破たんさせたとしても、サラリーマン経営者である彼ら自身が破綻するわけではない。

 一方で、経営陣による株式保有やストックオプションの保有、あるいは業績連動型の報酬の導入により、企業がリスクを冒して収益の大幅アップを実現すれば、経営者自身が受け取る収益もぐんぐんと上がる構造になっている。

 また、短期志向の株主の言うことを聞かずに、株主総会で自身の役員再任に反対されては自分たちのキャリアも終了してしまう。こういう状況では経営陣はリスクテイクに走ってもおかしくない。

 この状況を改善すべきだということで、最近では長期株主により議決権を持たせるべきだというような意見も登場している。

中長期の株式投資を好む投資家には魅力的

 たとえば、コリン・メイヤー氏が東証で行った講演では、企業経営の支配と所有の分離が重要であると議論し、たとえば長期株主がより議決権を持つことで企業の経営を安定させ、株主以外の従業員、取引先、債権者などすべての利害関係者にとってベストな経営を行うべきだという議論を行っていた。

 種類株を用いて議決権の違う株式を発行している事例としては、FacebookやGoogleなどがあり、経営陣の保有する株式の議決権のほうが圧倒的に大きい。これについては賛否両論あるわけだが、経営が短期利益至上主義的にならないという効用はあるだろう。

 一方、企業の株主が長期株主だけになることの弊害は別途あるので、議論の余地は多々あるものの、メイヤー氏の主張には感覚的に共感する方も多いに違いない。

 日本では議決権の異なる優先株を発行している上場企業は伊藤園しか存在しない。ただし、伊藤園の場合は通常の議決権が付されている普通株と、議決権のない優先株であり、GoogleやFacebookのように長期株主の議決権を多くするという類のものではない(拒否権を有する黄金株の事例は国際石油開発帝石だけ)。

 その中において、今回のサントリー食品インターナショナルの上場は、創業家が実質的な支配を続けるという意味では、GoogleやFacebookの経営陣が種類株を保有するのと同じように機能すると思われる。

 したがって、他の上場企業に比べて、より中長期的な経営をしうる環境にあるといえ、中長期的な株式投資を好む投資家にとっては魅力的な銘柄となる可能性がある。

*関連記事
>>>IPO(新規公開株)の抽選方法と取扱い社数で証券会社を比較してみた!

▼節約の第一歩はATM&振込手数料が無料のネット銀行選びから!▼
ネット銀行比較!トップページへ
金利やATM手数料、使い勝手、人気などで比較したZAi編集部のおすすめネット銀行はこちら! 定期預金金利の高さで選ぶ!おすすめネット銀行ランキング! 住宅ローンおすすめ比較 コンビニATM手数料&振込手数料のお得さで選ぶ!おすすめネット銀行はこちら! 普通預金金利の高さで選ぶ!おすすめネット銀行ランキング!  カードローンおすすめ比較
 【2018年6月15日時点】
 ■編集部おすすめのネット銀行はこちら!
普通預金金利
(年率、税引前)
定期預金金利(年率、税引前) 口座開設は
コチラ!
1年 3年 5年
 ◆イオン銀行(イオンカードセレクト保有者)  ⇒詳細ページはこちら!
0.10% 0.05% 0.10% 0.10%
編集部おすすめのネット銀行総合ランキング!イオン銀行の公式サイトはこちら!
【イオン銀行おすすめポイント】
年会費無料のクレジットカード「イオンカードセレクト」の保有者なら、普通預金がメガバンクの定期預金を超える0.10%に ATM手数料が24時間いつでも何回でも無料となるイオン銀行ATMは、全国のイオン、ミニストップ、まいばすけっとなど、着実に台数が増加中!
【関連記事】
【イオン銀行の金利・手数料・メリットは?】イオン銀行利用者は「イオンカードセレクト」が必須普通預金が定期預金並みの金利0.1%にアップ!
イオン銀行が「マイナス金利」時代の最強銀行に!?「イオン銀行+イオンカードセレクト」で普通預金の金利が破格の0.1%になるお得な特典を活用しよう!
定期預金金利に匹敵する普通預金があった! 普通預金の金利がメガバンクのなんと100倍で各種手数料もお得な「イオン銀行」を使え!
 ◆ソニー銀行  ⇒詳細ページはこちら!
0.001% 0.15% 0.02% 0.02%
編集部おすすめのネット銀行総合ランキング!ソニー銀行の公式サイトはこちら!
【ソニー銀行おすすめポイント】
全国約9万台のATMが利用可能! 中でも、セブン-イレブン、ミニストップ(イオン銀行)のATMなら、24時間いつでも何回でも手数料無料で出金可能。毎月無料で決まった金額を、他行から手数料無料で入金できる「おまかせ入金サービス」も便利。
【関連記事】
【ソニー銀行の金利・手数料・メリットは?】約9万台の提携ATMや「おまかせ入金サービス」など利便性を重視して、各種顧客満足度調査で上位に!
「ソニー銀行」の顧客満足度調査の評価はなぜ高い? 手数料や金利で突出したメリットが見当たらなくてもなぜかユーザーから支持されている理由はどこだ!? 
 ◆住信SBIネット銀行  ⇒詳細ページはこちら!
0.01%
(SBI証券口座保有者の
「ハイブリッド預金」適用時)
0.20% 0.02% 0.02%
編集部おすすめのネット銀行総合ランキング!住信SBIネット銀行の公式サイトはこちら!
【住信SBIネット銀行おすすめポイント】
「SBI証券」の証券口座と連動する「SBIハイブリッド預金」をつくれば、普通預金金利が大幅にアップ! ATM出金手数料と振込手数料はそれぞれ最大月15回まで無料! (「スマートプログラム」のランクによって無料回数は異なる)。
【関連記事】
住信SBIネット銀行の金利・手数料・メリット】SBI証券の口座と連動することで、よりお得な銀行に「ハイブリット預金」なら普通預金金利が10倍に!
「ミライノ カード」は利用額の1%が現金還元される実質「年会費無料」のクレカ! 住信SBIネット銀行の利用者なら「ミライノ カード GOLD」がおすすめ!
住信SBIネット銀行「スマートプログラム」を攻略!「SBIカード」の保有で最大限ランクアップすれば、振込手数料が月15回まで無料の最強のネット銀行に!?

住信SBIネット銀行ならメインバンクはそのままでコンビニATM手数料&振込手数料が無料にできる! SBI証券利用者は金利がアップして、さらに得する!
 ◆じぶん銀行  ⇒詳細ページはこちら!
0.001% 0.20% 0.03% 0.03%
編集部おすすめのネット銀行総合ランキング!じぶん銀行の公式サイトはこちら!
【じぶん銀行おすすめポイント】
2016年11月13日から、ステージによってお得な特典を利用できる新サービス「じぶんプラス」がスタート。ステージが上がれば、ATM利用手数料の無料回数が最高で月11回まで、他行あて振込み手数料が最高で月5回までアップ!。また、新規口座開設者限定で、3カ月もの定期預金金利が0.50%に!
【関連記事】
【じぶん銀行の金利・手数料・メリットは?】auと三菱UFJ銀行の共同出資でできたネット銀行。他行あて振込み手数料が、最高で月5回まで無料に!
 ◆SBJ銀行  ⇒詳細ページはこちら!
0.02% 0.25% 0.25% 0.30%
編集部おすすめのネット銀行総合ランキング!SBJ銀行の公式サイトはこちら!
【SBJ銀行のおすすめポイント】
ほかのネット銀行と比べても、定期預金金利の高さはトップクラス! さらに、セブン-イレブンとミニストップ(イオン銀行)なら、ATM出金手数料がいつでも何回でも無料、ファミリーマート(E-net)なら、最低でも月10回まで無料でお得。他行あて振込手数料も最低で月7回まで無料なので、月に何回も振込をする人におすすめ!
【関連記事】
【SBJ銀行の金利・手数料・メリットは?】定期預金がお得で、魅力的な商品も多い外資系銀行。ATM手数料や他行あて振込手数料の安さもメリット!
 ◆新生銀行  ⇒詳細ページはこちら!
0.001% 0.01% 0.02% 0.02%
編集部おすすめのネット銀行総合ランキング!新生銀行の公式サイトはこちら!
【新生銀行のおすすめポイント】
すぐに使う予定のない資金なら「2週間満期預金」でかしこく運用。ATMでの入出金や振込入金などでTポイントが貯まる「Tポイントプログラム」もお得。また、「新生ステップアッププログラム」で「新生ゴールド」以上なら、提携コンビニATMの出金手数料が、24時間365日いつでも何回でも無料!
【関連記事】
【新生銀行の金利・手数料・メリットは?】ATM入出金や振込入金などでTポイントが貯まる!新生ゴールド以上は出金手数料や振込手数料がお得に
「新生銀行」のメリットは金利と手数料だけじゃない!「Tポイントプログラム」を使えば、少ない預金でも年間1400円以上の“利息”をもらうことが可能に!
「マイナス金利」時代に有効な節約方法を伝授!優遇金利や手数料に着目したネット銀行の選び方と銀行預金の代わりに検討すべき高利回り商品を紹介!
※ 100万円を預けた場合の2018年6月15日時点の金利(年率、税引前)。金利は税引き前の年利率であり、利息には20.315%(国税15.315%〈復興特別所得税含む〉+地方税5%)の税金がかかります。また、最新の金利は各銀行の公式サイトをご確認ください。
おすすめのネット銀行

「じぶん銀行」なら、1年もの定期預金金利が
0.20%と高金利! さらに、ATM出金手数料は
最大で月11回まで無料!⇒関連記事はこちら

じぶん銀行の公式サイトはこちら!
Special topics pr


ZAiオンライン Pick Up
[クレジットカード・オブ・ザ・イヤー2018]2人の専門家が最優秀クレジットカードを決定! 2018年版、クレジットカードのおすすめはコレ! おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは、 本当は“ゴールド”ではなく“プラチナ”だった!? 日本初のゴールドカードの最高水準の付帯特典とは? 高いスペック&ステータスを徹底解説!アメリカン・エキスプレスおすすめ比較
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
じぶん銀行住宅ローン 「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」付帯サービスはプラチナカード顔負け!最強ゴールドカード 実力を徹底検証  アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード 「アメリカン・エキスプレス」が誇る、高いスペック&ステータスを徹底解説! 楽天カードはクレジットカード、楽天ポイントカード、電子マネーの楽天Edyの3つの機能を1枚に集約した三位一体型カード
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

サラリーマンが
株で1億円作ったワザ
人気の株500激辛診断

8月号6月21日発売
定価730円(税込)
◆購入はコチラ!

Amazonで「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!

 

サラリーマン1億円を作った(秘)ワザ】

メディア初登場多数
サラリーマンが株で1億円作ったワザ
会社員億超えしたワザ 
1億円到達目前の人のワザ
年金悠々自適の人のワザ
桐谷さんが優待株で3億円を築くまで

人気の株500+Jリート14激辛診断
・2018年後半に勝機をつかむ5大ランキング
10万円株7+高配当株7+株主優待株7
人気大型株371[東証1部&東証2部]
プロ100人がズバリ! 日本株&為替 大予測

今の株価が割安か割高かを一発判定!
日経平均の理論株価は2万2654円
・上場全3697銘柄の最新理論株価

●高配当型より圧倒的に好成績
米国成長乗る狙いめ投信

<別冊付録>ふるさと納税少額寄附でもらえる品
3000円5000円も豪華なモノが! 
・ふるさと納税1万円未満でもらえる返礼品

●一緒に月1万円の「投資」を始めよう! 
●勝谷誠彦の自腹で1000万円「株」投資日記
●株入門マンガ恋する株式相場!

 


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

Apple Pay対応のクレジットカードで選ぶ! Apple Payに登録して得する高還元率カードはコレ! 堀江貴文や橘玲など人気の著者のメルマガ配信開始! 新築マンションランキング