ネット証券会社比較
2014年4月10日公開(2016年5月31日更新)
久保田正伸

ネット証券各社のレポートから読み解く
NISA投資に最適なJ-REITの動向と
探し方&お得な買い方とは?

不動産市況の底入れ、NISAによる資金流入、日銀による買い入れなど、J-REIT(不動産投資信託)には、今、追い風が吹いている。ネット証券が提供するレポートをもとに、J-REIT市場の動向から、賢い買い方までを紹介する。

J-REITは分配金利回りが高い

 そもそもREITとは不動産投資信託のこと。日本版REITは「J-REIT」と呼ばれる。株のように証券取引所でお手軽に取引可能だ。J-REITの特性として、オフィスビルに投資する銘柄が多い。都心の一等地に建つ大型ビルなどの不動産に対し、一般の投資家が小口から投資できる。後述するがJ-REITのETF(上場投資信託)も存在しており、少額から投資が可能だ。

 その魅力のひとつが分配金利回りの高さ。3月末時点におけるJ-REIT市場全体の予想分配金利回りは3.8%(SMBC日興証券「J-REITマンスリーメモ2014年4月号」より)。長期金利(約0.6%)に比べて3%以上お得感がある。

NISA資金や日銀の買い入れが下支え

 J-REIT市場の動向を知りたい場合、東証REIT指数を見るとわかりやすい【図表1】。現在日本の不動産市況は、2007年に「ミニバブル」から急落し、足元では底打ちが指摘されている(楽天証券のレポート「窪田真之の3分でわかる!今日の投資戦略(3月12日)」)。

【図表1】底打ちから2013年以降アベノミクス相場による反発が見られる。東証REIT指数、月足10年。
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 2014年1月から始まったNISA(少額投資非課税制度)は、J-REIT価格の安定につながっている。高配当なJ-REITは、長期資金が向かうNISA口座を使った投資に、うってつけだからだ。

 現在「J-REIT特化型投信への資金流入が継続していることや地方銀行をはじめとする金融機関の買い意欲が旺盛」な状況だという(SMBC日興証券「正鵠~SMBC日興ストラテジー・マンスリー(4月号)」。

 日銀による買入れもJ-REIT価格を下支えしている。4月8日に行われた日銀決定会合の声明では、「ETFおよびJ-REITについて、保有残高がそれぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するぺースで増加するよう買入れを行う」としている。2014年中も300億円のJ-REIT買入れを行うことになっており、3月は10回(合計30億円)の買入が実施された。

 また、4月4日には世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がJ-REIT投資の開始を発表している。こういった下支え要因の影響もあり、最近の東証REIT指数は、TOPIXに比べて値動きが安定している【図表2】。

【図表2】過去2年間の東証REIT指数とTOPIXの値動きを比較。東証REIT指数は2013年に大きく上昇した。最近では、東証REIT指数は、TOPIXに比べて値動きが安定している。
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消費増税や新興国不安は逆風

 一方で、リスク要因もある。

 「2014年度入りする4月上旬については地方銀行をはじめとして利益確定売りで一時的に調整する可能性」が指摘されている(「正鵠~SMBC日興ストラテジー・マンスリー4月号」。

 消費税の影響や新興国不安も関係している。

 「夏以降の価格動向は弱めに推移する可能性があります。その最大の理由は、消費税増税のマイナスインパクト」(マネックス証券「マネックスラウンジ」(第41回2014年のJ-RETI市場はボックス圏での推移へ)

 「新興国に対する不透明感などが、国内株式市況の下押し圧力となり、国内リート市況はもみあう展開」(三菱UFJ投信「Market Monthly 2014年4月」。カブドットコム証券で閲覧可能)最近の値動きもみあいの展開。購入する場合、タイミングを工夫するべきだろう。

J-REITに投資して毎月分配金をもらう方法

 J-REITに投資して、分配金を毎月もらう投資のテクニックを紹介しよう(「マネックスラウンジ」特集1、第46回J-REITのETFについて【J-REIT投資の考え方】より)。

 J-REITに投資する方法としては、個別のJ-REIT以外に東証REIT指数に連動するETFが存在しており、現在、4銘柄が上場している【図表3】。うち3銘柄(証券コード134315951597)は、決算が年4回で、投資は10口単位。現在、1銘柄あたり1万5000円程度から投資が可能だが、3銘柄に投資すれば、毎月分配型のETFになる。

【図表3】REIT指数に連動するETF

口数 価格(4/4) 分配金支払 分配金支払月 a分配金利回り 信託報酬
【銘柄名(コード)】 REIT-ETF(1343)
10 1563円 年4回 2,5,8,11月 3.38% 0.32%
【銘柄名(コード)】 上場Jリート(1345)
100 1483円 年6回 1,3,5,7,9,11月 3.01% 0.30%
【銘柄名(コード)】 NZAM Jリート(1595)
10 1485円 年4回 1,4,7,10月 (3月上場) 0.248%
【銘柄名(コード)】 MXS Jリート(1597)
10 1480円 年4回 3,6,9,12月 (2月上場) 0.25%
 ※分配金利回りは2月28日時点で直近12か月の実績分配金をもとに算出。

 「毎月分配型のJ-REITの投資信託(ファンドオブファンズ)を買っても同じではないか」という話もあるが、ETFの方がメリットが多い。ファンドオブファンズの場合、安定分配のために、「分配」と言いながら、実質は投資家資金の払戻しとなる場合がある。ETFならば分配金はすべて収益から支払われるので、投資家が収益を勘違いせずにすむ。

 コスト面で考えた場合、ファンドオブファンズでは、信託報酬が1.08%の商品が多く、安くても0.7%程度。一方、ETFならば0.3%前後【図表3】だから割安だ。

 手数料に関しては、ETFだと無料になる場合がある。カブドットコム証券は、2月から「MAXISJリート上場投信」(1597)を「フリーETF」対象銘柄としており無料で投資できる。松井証券の場合は、銘柄に寄らず1日の約定合計が10万円以下ならば手数料が無料。たとえば、上記の3銘柄(134315951597)を10口ずつ買っても約4万5000円だから手数料は無料だ。積立のように定期的に少しずつ買えば、低コストな投資が実現する。

東証REIT指数は1800ポイントを目指す

 リスクはあるものの、今後もJ-REITは「期待できる」とするレポートが多い。

 「一等地のビルについては、空室率の低下や賃料の底打ちが期待できるので、これからREIT指数のさらなる上昇が期待できる」(前出、窪田氏)。

 さらに、アベノミクス効果が現れるのは、これからだとするレポートもある。

 「オフィスビルを移転する場合、テナントは一般的に解約の6ヶ月前に現在入居しているビルの貸主に解約通知を出す。(中略)今後さらに景気回復が本格化すれば、スローペースでの改善に留まっているオフィスビル賃貸市場の急速な回復が実現する」(前出「マネックスラウンジ」)。

 アベノミクス効果が時間差でオフィス市場に好影響を与えると考えられるのだ。2014年以降にその効果は現れ、J-REIT価格の上昇や分配金増加にもつながるという。

 実際、「東京都心のオフィス賃料は若干ながら回復し始めておりファンダメンタルズ面では安心感が出てきている」(SMBC日興証券「J-REITマンスリーメモ2014年4月号」)。

 ただし、今後、金利が上昇すると、不動産市況にはネガティブ。その場合も「金利上昇初期~中期の段階では、不動産市況は上昇する」傾向が見られるようだ(前出、窪田氏)。市況が下落し始めるのは、金利上昇末期の話。現時点では、まだJ-REITの上昇に期待が持てる。

 では、東証REIT指数は、どれぐらいまで上昇するのか。現在の指数は約1470ポイントだが……。SMBC日興証券では、今後5年程度の期間を経てJ-REITの保有するオフィスの賃料収入は10%程度の上昇を想定し、2014年の東証REIT指数は「1800ポイントを目指す展開」との見方を示している。

 J-REIT投資は、購入のタイミングなどに工夫をする必要がありそうだが、まだまだ旬の商品であることは間違いないようだ。最後にこの記事で引用した各ネット証券のレポートを掲載しておく。これらのレポートはすべて無料で閲覧可能だ。詳しい情報を知りたい場合は、各社に口座を開設してチェックしていただきたい。

     <この記事で引用したネット証券のレポート>

  コーナー レポート名 掲載日時 公開状況
1  ◆SMBC日興証券
ストラテジー 正鵠~SMBC日興ストラテジー・
マンスリー(4月号)
14/3/26 会員向け
業界レポート J-REITマンスリーメモ
2014年4月号
14/4/1 会員向け
2  ◆カブドットコム証券(三菱UFJ投信)
三菱UFJ投信
マーケット情報
Market Monthly
2014年4月
14/4 会員向け
3  ◆マネックス証券
マネックスラウンジ 
特集1
第41回2014年のJ-RETI市場は
ボックス圏での推移へ
13/12/19 サイト公開
マネックスラウンジ 
特集1
第46回「J-REITのETFについて
J-REIT投資について」
14/3/20 サイト公開
4  ◆楽天証券
窪田真之の3分でわかる!
今日の投資戦略
好利回りのREIT
(不動産投資信託)を見直す
14/3/12 会員向け

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