ネット証券会社比較
2014年5月1日公開(2016年5月31日更新)
久保田正伸

決算発表の結果をふまえ、
いつ、どんな銘柄に投資するべきか

2014年3月期の決算発表が真っ盛り。5月は1日から9日までに約1000社の発表が予定されている。今年の企業決算の状況、株価の今後の変動、決算情報をふまえた銘柄の選別ポイントなど、ネット証券各社が提供する分析レポートの見解を紹介しよう。

企業の売上高は減少でも利益は過去最高

 2013年の売上高(全産業)は過去最高額だった2007年以降、年々減少している【図表1】※2013年のみ、年度ではなく1~12月の合計。

 一方、2013年の経常利益は2006年度(59.5兆円)を抜いて過去最高額を更新することが確実視されている【図表2】(財務省「法人企業統計」より)※2013年のみ、年度ではなく1~12月の合計。

 「企業は売上高が増加しなくても利益が稼げる体質になっている。もしくは、デフレで売上高が減少しても、利益が稼げるような対応が進んでいる」状況だ。(三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポート「日本経済ウォッチ(2014 年4 月号)」より。カブドットコム証券で閲覧できる)。

会社予想は「期初保守的」がパターン

 注目は2015年3月期の業績予想だが、日本企業は、期初に保守的な予想を出す傾向がある。4月の消費税増税もあり慎重な予想を出す企業が多いと考えられる。

 「現時点での2015年3月期の予想経常増益率(東洋経済予想)は前年度比+7.5%であるが、3月調査日銀短観の2014年度経常利益計画(大企業)は同▲2.3%と減益になっている」(SMBC日興証券「Weekly Outlook」(2014年4月18日)。

 「短観」の経常利益計画は、3月調査は保守的な数字で始まり、その後上方修正されていく傾向が強いようだ。そこで心配されるのが今後の株価動向だ。

 上記のSMBC日興証券のレポートでは、「決算発表が一巡して、会社側の業績予想が出揃う5月中旬頃までは、業績悪化への警戒感が重石となり、積極的に上値を買い難い地合いが続く」と見ている。

 「海外株の堅調推移を背景にしっかりの動きを想定も、最近はGW空け後の下落が目立っており、警戒感が早々に反映される可能性も残る」(フィスコ「週刊相場観測誌Market展望」(2014年4月21日号。マネックス証券で閲覧可)。

 保守的な業績予想から期を追うごとに業績拡大が確認されれば株価上昇の芽が出てくるかもしれない。ただし、5月の株価は、上昇のきっかけが見つからない展開を予想する向きが多いようだ。

どんな銘柄に注目するべきか?

 現在、発表が相次いでいる情報をもとに、どんな銘柄に注目するべきだろうか。ネット証券各社のアナリストが考えた銘柄選別のポイントや銘柄の一部を紹介しよう。

◆上昇気流の最高益企業に注目!低迷相場を乗り切る有効な戦略になるか
SBI証券、日本株投資戦略、4月18日ネット公開)

 市場コンセンサスで2014年3月期に過去10年間の営業最高益を更新すると予想されている20銘柄に注目している。「経済が成熟し、海外諸国・企業が力を付ける中、最高益を更新してゆくには、相応の事業資質や競争力といったものが必要」という考えからだ。

 また、最高益更新に加え、2015年3月期も大幅な営業増益が見込める企業として、エムスリー(2413)、エンプラス(6961)、ワコム(6727)、村田製作所(6981)など、20銘柄が紹介されている。

◆キャッシュリッチな自社株買い銘柄に注目
岡三オンライン証券「岡三グローバルウィークリー」2014.4.21)

 「決算発表シーズンは自社株買い発表が相次ぐ季節」として、キャッシュリッチな企業に注目している。自社株買いは「自社の株価は割安であるというメッセージを市場に送る「アナウンスメント効果」も期待できるという。このレポートでは、「主なキャッシュ・リッチ銘柄」として、SANKYO(6417)、任天堂(7974)ほか、22銘柄が紹介されている。

 たとえば、昨年同時期に自社株買い決議を行った企業として、みずほFG(8411)がある【図表3】。5月15日に自社株買いが発表された直後、株価は上昇したが、6月は下落した。こういった銘柄を買う場合、発表直後に飛びつかず、安いところを買っていった方がいいかもしれない。

【図表3】昨年5月に自社株買いを発表したみずほFG(8411)の週足2年チャート。6月には株価が下落したが、値動きは安定している。

◆製造業で前期に続き今期も最高益更新が期待される銘柄は」
マネックス証券、投資のヒント ~銘柄選択の実践アイデア~4月18日)

 収益力が上向く傾向がある製造業に注目。カルビー(2229)、ヤクルト(2267)など、アナリストたちの業績予想の平均であるコンセンサスの営業利益が、前期に続き今期も最高益更新となっている48銘柄が一覧表で紹介されている。

◆会社計画がアナリスト予想を上回る銘柄
SMBC日興証券「週刊株式市場分析」4月10日)

 「期初会社計画がアナリスト予想を上回った銘柄と下回った銘柄に分けて平均的なパフォーマンスを見ると、4月から7月頃にかけて前者がアウトパフォーム、後者が若干アンダーパフォームする傾向が見られる」という。

 このレポートには「期初会社計画の方向性(対市場コンセンサス)に関する可能性(1)」という表が掲載されている。3月決算企業について、2014年度期初会社計画(対コンセンサス予想)が「上振れ」「下振れ」「ニュートラル」の3つに分類されている。

 たとえば、日立建機(6305)は「上振れ」と判断されていた。2015年3月期の経常利益の通期コンセンサス予想は653億3800万円に対して、4月24日に会社が出した予想は750億円と、確かに上振れしている。

 ちなみに、マネックス証券の投資情報では、「会社予想がコンセンサスを上回る上方修正をした」銘柄を検索できる【図表4】。

【図表4】マネックス証券で利用できるツール「決算&業績予想IFIS」の「簡単スクリーニング」機能で「会社予想がコンセンサスを上回る上方修正をした」銘柄を表示できる。
拡大画像表示

◆株価低迷銘柄の好決算発表
(フィスコ「週刊相場観測誌Market展望」4月28日・5月7日合併号。マネックス証券で閲覧可)

 好決算を発表したサイバーエージェント(4751)見直しの動きに注目し、「2月以降に大きく売り込まれた銘柄には決算発表が見直しにつながるタイミングとなる」としており、一時の急騰が一服し調整基調が強まっている銘柄として、日本通信(9424、5月8日発表)、マイクロニクス(6871、9日発表)などの決算発表に注目している。

 また、【図表4】で紹介した「簡単スクリーニング」では、「低PER銘柄の上方修正」銘柄を検索できる。株価が割安なお買い得銘柄を発見できるだろう。

 さて、決算発表時の銘柄選別のポイントをまとめてみたが、ヒントになる情報は見つかっただろうか。「ゴールデンウィーク明けは株価低迷」と予想するレポートもある。決算発表を見て飛びつき買いをするなど、高値づかみには注意したい。

 ここで紹介したレポートは、すべて無料となっている。詳しく読みたい場合や、具体的な銘柄について知りたい場合は、ネット証券各社に口座開設をして閲覧していただきたい(※過去のレポートはサイト上から消されている場合があります)。

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