世界第3位のGDPを誇るこの国で、今「下流化」の波が老人だけでなく中年や若年層にまで押し寄せている。ベストセラー『下流老人』の著者・藤田孝典さんにその原因と対策を聞いた。
貯金が3000万円もある普通の人も下流老人に!
若い人たちの下流化で下流老人は増加する
──「下流老人」とはどういう人を指すのか、改めて教えてください。
私は、「生活保護を受ける基準となる金額で暮らす高齢者及び、その恐れがある高齢者」と定義しています。具体的には、収入が著しく少なくて、十分な貯蓄もない、さらに周りに家族など頼れる人がいない高齢者のことです。推定では、600万~700万人程度はいると思っています。

──下流老人になってしまうのは、どういう人なのでしょうか?
決して、特別な人ではありません。ごく普通の暮らしをしていた人が、1つか2つのファクターで容易に貧困に陥ります。病気や事故で高額な医療費の支払いが発生したり、介護状態になってしまったり。また、子どもがうつ病で働けなくなったのがきっかけという場合もあります。さらに、熟年離婚で年金を夫と妻で分けた結果、一気に生活が苦しくなったという人もいます。
だから私は、「『下流老人』の本ではあなたのことを書いているんです」とよく言うんです。年収400万円でも600万円でも、預貯金が退職金を含めて3000万円あっても、それで安心ではないんですよと。不安を煽ろうということではなく、相談に来ている人たちの実例から見えてきているからです。
──これから高齢者になっていく団塊の世代以降にとっては、確かに他人事ではありませんね。
今の団塊世代は、90歳、100歳まで生きることを意識する初めての世代だと思います。今、平均寿命は約80歳ですが、90歳までは想定して準備しておいたほうがよいでしょう。

しかし誰もが、75歳くらいまでは退職金や預貯金、年金でどうやりくりしようかと考えているんですが、後期高齢者となるそれ以降のビジョンがない。実際、夫の遺産が尽きてしまい、国民年金だけでは暮らせないと相談に来られた80代半ばの女性は、「まさか、こんなに長生きするとは思わなかった」と話していました。
──藤田さんは、2011年にNPO法人「ほっとプラス」を立ち上げて、埼玉県を中心に生活困窮者の相談に乗っていらっしゃいますね。
大学生だった2002年頃に、新宿中央公園やその周辺でホームレスの炊き出しや声掛けのボランティア活動に参加したのが、この仕事に携わるようになったきっかけです。
現在は、年間500人の生活困窮者の支援を、約10名のスタッフで行なっています。相談に訪れる人の約半数は高齢者です。ただ、全体を見れば10~80代まで幅広い年齢の方が訪れており、生活困窮は高齢者だけの問題ではありません。
──10年以上、社会福祉の活動に関わっていらして、状況はどのように変化していますか?
悪くなっていますね。特に2008年のリーマンショック以降は、正社員の方も相談に来られるようになっていて、終身雇用だから大丈夫という従来の認識は通用しなくなっています。また、非正規雇用やブラック企業の増加に伴い、20~30代の若い世代にも貧困が広がっています。

──下流化が、すべての世代に広がっているということですね。
そのとおりです。そして、働く世代で貧困が進むと、結婚ができなくなり、その結果として、独居老人予備軍が増えていきます。仮に結婚できても、子供も貧困状態です。そうなると、生涯低所得の仕事にしかつけず、低年金や無年金、無保険の状態で老後を迎えることで、下流老人がますます増えていくことになってしまいます。それを回避するには、抜本的な貧困対策が必要だと考えています。

防貧対策の充実が日本経済を底上げしていく
税制の見直しなどが下流老人の回避への道筋
──「1億総下流化」を防ぐには、国は何をすればよいのでしょうか?
まず防貧対策の実行です。貧困は、早めに手を打つことが基本です。早めに支援、救済したほうが、税金の負担も少なくて済みますから、国にとってもメリットがあります。実際に他の先進国では、困窮する前に手を差し伸べる防貧対策が非常に豊富です。
一方、日本は困窮したら助けるという救貧対策に偏っていて、防貧対策にはこれまでほとんど予算が割り当てられていませんでした。現役世代にとって負担の大きい教育費や住宅費も、自分たちで支払うしかありません。終身雇用で福利厚生が充実していた時代には何とかなっていましたが、今後は立ち行かなくなってしまうでしょう。
──海外の防貧対策とは、具体的にどのようなものですか?
たとえば、住宅なら現物給付型として公営住宅が用意されていたり、現金での家賃補助制度があったりと、多岐にわたる対策があります。失業保険なども日本より手厚いですね。
先進34カ国が加盟するOECDでは、半数の17カ国で大学までの教育費が無償となっています。奨学金の給付に至っては、34カ国中32カ国が実施しており、給付がないのは日本とアイスランドだけです。OECDの平均と比べて、日本の大学進学率が低いのもそれが一因でしょう。
国連からも、貧困層が高等教育を受けられないと社会が発展しないと指摘されていますが、日本の社会保障制度は「鎖国状態」。一刻も早く「開国」して、他の先進国並みにする必要があります。
──国が教育費に予算を割り当てることが、下流化を防ぐことにつながるのでしょうか?
中卒、高卒、大卒の生涯賃金は、約1億円ずつもの差があります。賃金が増えれば、納税額も増えます。教育にお金をかけることが、中長期的には日本経済を底上げすることにつながるのは間違いありません。
資源がない日本では、いちばんの財産は「人」ですから、民主党政権時代の「コンクリートから人へ」ではないですが、人に投資することは非常に重要だと思います。
──ただ、財源の問題もあります。
税金の再分配をもっとうまくやっていく必要があるし、税制自体もガラッとドラスティックに変えていかなければならないのでしょう。
2015年度は所得税の最高税率が密かに40%から45%に引き上げられましたが、さらなる引き上げの検討も必要です。法人税の見直しや資産課税の検討、高額な年金を給付している場合は減額も必要かもしれません。もちろん、合意形成は簡単ではないと思いますが、そこを何とかすることこそが政治に求められる役割だと思います。
──手遅れではないですか?
団塊世代がこれから高齢期を迎える今なら、まだ多少はゆとりが残っているので、今手を打つべきです。何もしなければ、団塊世代より貯えが少なく雇用も悪化している、団塊ジュニアの世代に相当の負荷がかかってしまうでしょう。
経済界の風向きも、少しずつ変わってきています。これまでは、「社会保障=お荷物」の認識でしたが、ようやく「投資としての福祉」「投資としての社会保障」が叫ばれるようになってきました。時間はかかっても、説明を続けて地道にわかってもらう努力が必要なのです。
*後編はこちら
「老後破綻」を避ける、資産形成や疑似家族など自分で用意できるセーフティーネットの作り方とは?ベストセラー『下流老人』著者に聞く!(後編)
藤田孝典(ふじた・たかのり)
1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学人間福祉学部客員准教授。ソーシャルワーカーとして現場で活動しつつ、生活困窮者などへの支援について提言を行なう。2015年6月に上梓した『下流老人』(朝日新書)はベストセラーとなり、版を重ねている。
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