市場が不透明だとして経済産業省が進めてきた、ガソリンや灯油といった石油製品の流通市場改革で、大きな動きがあった。
改革の最大の要は、石油元売り企業と中間業者である商社などが取引する際の卸価格に、市場原理を持ち込むことだった。
というのも、これまでは卸価格を決める際、正規流通ルート外の余剰製品を取引するスポット市場の価格、いわゆる「業転玉」の価格を指標にすることが業界の慣行だった。業転玉は実勢価格よりも安い価格で取引されることが多い。そのため、元売りは実勢価格と懸け離れた安い卸価格で取引せざるを得ない事態が常態化していた。
さらに、こうした流通構造が、業界特有の「事後調整」の温床となっていた。事後調整とは、元売りが中間業者と一度決めた卸価格を、後で調整する取引だ。先述した市場価格よりも安い業転玉の価格を盾に、中間業者が元売りと交渉し、卸価格を安くさせるのだ。
経産省は「不透明でゆがんだ市場構造」(経産省幹部)であり、元売りの超低収益体質の元凶であると問題視。この数年、改革を加速させていた。