詳しくは後述するが、そういった男女の特徴の違いを感じる場面が多くあり、女性管理職が抱える大きな問題があることに気づき、太田氏は女性に特化した管理職研修を始めるようになったという。

 女性の場合、これまで管理職になることを想定していなかったような人材も多く、会社で孤立してしまうこともあり、上司との意思の疎通もままならないような状況の人もいる。そのため、研修内容はスキルよりもマインドセットが優先されることが多いという。

 では、多くの女性管理職が抱える問題とは、どんなことだろうか。

女性管理職が男性部下に頼りなく
思われる理由は「自信のなさ」

太田由紀(おおた・ゆき)
一橋大学社会学部卒業。株式会社リクルートを経てブレインズ株式会社設立。2008年、サイコム・ブレインズ専務取締役に就任。現在同社の人事を統括し、講師としても活躍している。主な担当研修は、管理職研修、意思決定力強化研修、OJT強化研修、UPA交渉力強化研修、UPAコーチングスキル研修、ファシリテーションスキル研修など

 サイコム・ブレインズでは、比較的最近、女性管理職の登用に取り組み始めた日系の企業を中心に、女性管理職やその候補となる人材に対する研修の要望が急増した。こうした女性限定の管理職研修に参加する受講者に今の課題を聞くと、「自信がないこと」「自信をつけたい」とその多くが口にする。人事部が「(女性上司が)もうちょっと自信を持ってくれれば……」と言うこともあるという。太田氏自身も管理職になったとき、自信が持てなかったそうだ。

 自信が持てないことによって、仕事をミスなくまとめようと考えがちになり、果敢にチャレンジしなくなってしまう。そうした気持ちが部下に伝わり、「頼りない」「決定力がない」と思わせてしまうこともあるのだろう。

 では、女性管理職は、なぜそんなに自信がないだろうか。太田氏は理由をこう語る。

「理由の1つは経験不足です。経験不足の人がマイノリティ(少数派)の状態で、組織で力を発揮するというのはかなりハードルが高いです。それなのに女性管理職は、自分が組織で力を発揮できないのは、自分に力がないから、自分が悪いからと思ってしまうんです」

 もちろん、女性の経験不足は、将来的に出世することを考えていないなど本人の問題による場合もあるが、“お父さん”のような役割の上司がいる場合、特に顕著になるという。

「女性部下を守ってあげなければいけない」という優しさが、本来は通過すべき修羅場を経験する機会を奪ってしまうのである。一見気遣いのように見えるが、それが成長の妨げになる原因の1つになってしまうのだ。

 女性管理職が特に自信を失うときは、男性部下に対するリーダーシップを発揮しなければいけない場面だという。