流出した人材を補うためには、これまで以上に人材育成に力を入れる必要がある。また、世間では“ブラック企業”という言葉が市民権を得ており、レオパレス21のことを、インターネットなどでそう囁く人もいた。人事面の抜本的な見直しが必要だったのだ。人事部部長の石倉達志氏は、当時を振り返ってこう語る。

「企業の成長のためにまず必要なのは『人』です。今までと同じことをやっていては、リーマンショックのような危機に際して、また人材の流出が起こってしまうし、いつまでも“ブラック企業”と呼ばれたままでは、採用にもマイナスです。『歩合が高いかわりに仕事がハード』という不動産業界の常識を覆さなければ、状況は改善しないだろうと、経営層自らがこれまでの会社の在り方を変えようとして、メッセージを発信するようになりました」

立ち上がった人事部
長時間労働から効率主義へ

 2014年には、人事部から独立した「ワークライフバランス推進室」が組織された。推進室の室長は人事担当の取締役であり、組織図からも経営層の熱意が読み取れる。しかし、推進室を設置して労働時間・残業時間のスリム化を図るだけでは、長時間労働で支えられていた業績は維持できない。並行して、社員への研修も導入した。まずは管理職を中心に、営業の強化から部下のマネジメントに至るまで、様々な研修を用意した。

 研修の導入は、人事部が日常的に行う社員へのヒアリングもきっかけの1つだった。ヒアリングは、社員が抱えている悩みを聴くことで離職を未然に防ぐねらいもあったが、会社に対して「成長させてくれる」ことを期待する声を多く聞くことに繋がった。どちらかというと「上司の背中を見て育て」という社風だった同社だが、研修の成果はじわじわと現れた。

 評価されるのは「長い労働時間」ではなく、あくまでも「会社に対する貢献度」。短時間で、より効率的に成果を上げる方法を、経営層や管理職だけでなく、社員たちが話し合いながら考えるように変わってきたのだ。時間外労働は、ここ2年間で1人当たり月8時間以上減り、職場の風通しもよくなった。結果、昨年度の離職率は8%台にまで改善することができた。