これはサッポロビールが恵比寿駅近くに保有していたビール工場跡地に計画された一大都市開発で、開発面積は8.2ヘクタールだから六本木ヒルズとほぼ同じ。そこにサッポロビールの新本社ビル、恵比寿ガーデンプレイスタワーなどのオフィスビル、恵比寿ガーデンテラスなどの高級マンションなど複合都市が建設された。

 恵比寿という都心の一等地の土地をもともと保有していた企業の開発事業なので、通常時であれば莫大な利益があがるプロジェクトになるはずだが、時期が悪かった。建設コストはバブル期に高騰した費用がそのままのしかかり、開業後のテナント募集の時期にはバブル崩壊後の急落した相場での賃料で募集をしなければならなくなった。

 バブル期らしくヨーロッパの古城をモデルに築城し、三ツ星レストラン「ジョエル・ロブション」を招致するなど、コンセプト的には私も好きな街である。だが、サッポロビールの収益への貢献という意味で考えれば、時期をあと10年、前か後にずらしていた方が、もっと大きな利益があがり、ビール会社としての競争力も維持できたのではないかと思わずにはいられない。

JR東日本が公益企業ゆえ、
“景気の下支え”になる可能性も

JR東日本のプレスリリースより
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 とはいえ、私はJR東日本の品川新駅構想は、いろいろな意味でタイミングがいい話だとも思っている。

 というのはサッポロビールと違い、JR東日本は公益企業である。株主には悪いが、たとえタイミングが悪い時期に不動産開発を行ったとしても、本業である鉄道業はある程度権益に守られた事業として金を稼いでくれるから、不動産開発の利益のあてが外れたとしても会社の屋台骨がゆらぐほどのダメージにはならないはずだ。

 それよりも景気が悪くなるのではとみんなが心配を始めるタイミングで、建設業界に一定規模の雇用を生み出し、景気を下支えしてくれるプロジェクトになる。大恐慌のときのフーバーダムに例えると叱られてしまうかもしれないが、起きるかもしれない未来の失業をある程度吸収してくれる、タイミングとしては非常にいい開発案件になるのではという考えだ。

 何よりこれだけ便利な場所の再開発。利益が出ないことはないだろう。あまり心配しないで、新駅誕生によって東京の景気がよくなるという良い面を楽しみに、このプロジェクトの将来を眺めていきたいと私は思うのだが、どうだろう。