リオ五輪の閉会式は、次期開催地・東京をアピールする日本らしい演出で盛り上がり、2020年への期待を残してオリンピックは閉幕した。日本経済はこれから4年間、オリンピックに向けた盛り上がり経済を迎えるだろう。だいたいの人がそう口にする。
だとすればオリンピックバブル景気に期待したい。そう思ってマクロ環境を眺めると、確かに30年前に始まったバブル景気と今は類似点が多い。
類似点が多いということは、バブルがはじけ日本経済が暗転した1991年と同じ恐怖が、五輪後の2021年にも待ち受けているのではないか?という不安もよぎる。類似点から何が起こりそうなのかを予想してみよう。
不動産上昇、一流ホテル開業…
バブル期に似た“浮かれた”状況
バブルとの類似点は、マイナス金利と量的緩和で街にマネーが溢れている点だ。不動産価格はつり上がっているし、都心にはオリンピックを見越して世界の超一流ホテルがつぎつぎと開業している。
タイミングを予想すると、天皇陛下の生前退位がこの時期に重なる可能性もある。もしそうなれば、新しい天皇陛下が即位して、元号も代わり、そこで一段と東京の街は浮かれた気分になっていく。
マネーが世の中にあふれること、時代が浮かれること、そして世間は「オリンピックまで景気はこのまま上がっていく」と根拠のない楽観主義で投資が広がる。こういった点は30年前のバブルとよく似た状況だろう。
30年前にはこのタイミングでバブルが弾けた。バブルを知らない世代のために当時のことをお話ししておくと、1989年の年末に株価が弾けても、世の中のわれわれはバブルが崩壊したとは気づかない。そこからしばらく、空走の時期が始まる。
実際1990年は「何かがおかしい」感じの1年間となった。1990年の3月に大蔵省による総量規制が始まり、不動産投資への資金源が止まる。そのためこの年の後半でずるずると今度は不動産価格が下がり始めて、ようやく皆がバブルがはじけたと気づく。バブル紳士とよばれた怪人たちが経済の表舞台から消えていくのは1991年以降の出来事だ。
東京五輪の閉会式は2020年8月9日。ちょうど30年前に世の中が「何かがおかしい」と感じ始めたようなタイミングでオリンピックが終わる。表面的には熱い夏。しかし何かが徹底的に冷え込んでいることが感覚的にわかる。
そのような夏に、30年の時間を経て2021年のバブル崩壊はどこから起こるのか?