遺言書を貸金庫に入れるのは絶対NG…家族が詰む“最悪の落とし穴”に注意!
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

遺言書を貸金庫に入れるのは絶対NG…家族が詰む“最悪の落とし穴”に注意!Photo: Adobe Stock

遺言書を貸金庫に入れるのは絶対NG!

 本日は「相続と貸金庫」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。

家族が詰む“落とし穴”とは?

 相続が発生する前であれば、貸金庫の契約者以外でも、あらかじめ定められた代理人によって貸金庫を開けることは可能です。

 しかしながら、相続が発生した後は、代理人であっても貸金庫を開くことはできなくなります。これは、相続人や代理人が貸金庫の中身を着服した場合、銀行は他の相続人から責任を追及されてしまうため、このような取り扱いにしています。

 貸金庫を開けるためには、相続人全員の同意が必要になります。必要書類は、①故人の出生から死亡までの戸籍、②相続人全員の戸籍、③相続人全員の印鑑証明、④貸金庫の鍵またはカード、⑤銀行所定の同意書等です(銀行によって取り扱いが変わることもあります)。

遺言執行者がいるとスムーズ

 なお、遺言書で貸金庫を開ける人を指定しておけば、他の相続人の同意なく、貸金庫を開けることが可能です。このような権限を与えられた人のことを、遺言執行者といいます。遺言に、「私が契約する貸金庫の開かい扉ひ、解約および内容物の取り出しをする権限を、遺言執行者○○に与える」と記載しておけばOKです。

 ただ、その旨が記載されている遺言書を、その貸金庫に保管してしまうと、遺言書の内容を証明できないため、結局、相続人全員の同意が必要になるので注意しましょう。

 また、相続人の中に行方不明者がいる場合など、どうしても相続人の同意が得られない場合は、公証人の立ち会いのもと貸金庫を開けることも可能です。専門家に相談しましょう。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)