マイクロソフトが2001年に「Xbox」で家庭用ゲーム機市場に参入して、来年で10年になる。2005年に発売された後継機「Xbox 360」はワールドワイドで4500万台の市場シェアを獲得し、欧米では「プレイステーション3」を擁するソニーとほぼ互角の戦いを展開しているが、日本では約135万台と苦戦中だ。明日11月20日に発売される、Xbox 360用体感型ゲームシステム「Kinect(キネクト)」でマイクロソフトは念願の市場拡大ができるのか。Xbox事業を統括するマイクロソフト執行役常務の泉水敬氏に話を聞いた。

石島:ゲーム機ビジネスがひとつの地域で成立するには、最低でも500万台普及していることが必要だと言われています。Xbox 360の日本国内シェアは現在約135万台ですので、このまま現状が続きますと、流通関係者もマイクロソフトの商品棚を維持することが難しくなりそうです。

泉水敬(せんすい・たかし)
1964年神奈川県生まれ。1986年プリンストン大学工学部卒。コロンビア大学で経営学修士(MBA)取得。リクルート等を経て、 2002年にマイクロソフト入社。Xbox 事業本部マーケティング本部長、執行役 ホーム&エンターテイメント事業本部長を経て、2010年現職。

泉水:確かに日本市場での我々のシェアは他に比べて低い状況です。しかし、それでも我々はXboxの魅力をお伝えする努力を今後も続けていきますし、11月20日に発売されるXbox 360用の新しいゲームシステム「Kinect(キネクト)」は、その努力に値する魅力が十分あると考えています。

 その根拠は、「コントローラを使わないで遊ぶ」という体験がもたらす驚きが、我々の予想を超えているからです。石島さんも多分そうだと思いますが、キネクトを見るまでは、コントローラを持たずにゲームを遊ぶ日が来ることを想像できなかったでしょう?

石島:ええ、全く想像できませんでした。私は任天堂のフィットネスゲーム「Wii Fit Plus」ユーザーなので、コントローラを持たずに遊ぶ楽しさはすでに体験していますが、さすがに“何にも触れずに”遊べます、と言われると驚くしかありませんでした。

泉水:私もです。初めて米国本社でキネクトに触ったとき、大変驚きました。「これが新しいゲームの歴史を作るんだな」と、体が震えたことを覚えています。ただ、キネクトを「コントローラを使わずにユーザーの身振りや音声で操作する新しいゲームシステム」と言っても、私たちが感じた楽しい驚きは伝わりにくいですよね。

 まずは、たくさんの方にキネクトに触っていただき、楽しい驚きを一緒に分かち合いたい。結果はその後に自ずとついてくるのではないでしょうか。キネクトはきっと、Xboxビジネスの結果においても、うれしい驚きをもたらしてくれると信じていますよ。