そして、蓮舫氏の台湾籍が残っていたことが判明すると、「17歳当時の私の記憶の不正確さで様々な混乱を招いたことをおわび申し上げる」と強調して、これまでの説明について「発言がある意味で一貫性を欠いていた」とようやく謝罪した。

 蓮舫氏の「軽率さ」は、2006年に前原氏が民主党代表だった時の「永田メール事件」を連想させる。民主党衆院議員だった永田寿康氏が、電子メールを証拠にライブドア事件と堀江貴文氏の疑惑を追及した。前原代表は、疑惑追及について「期待してください」などと発言して強気な姿勢を示したが、後にメールがねつ造であることが判明した。

 結局、メールの真贋を確認せずに「軽率な」言動をとった前原代表ら党執行部は総退陣に追い込まれてしまった。蓮舫氏は、批判に対して咄嗟に感情的な反論をしてしまう。それは、若き日の前原氏に似ている。非常に危なっかしい感じがするのだ。

 英国保守党党首選でも、高い大衆人気を誇るボリス・ジョンソン氏の支持を得て、一時は本命のテリーザ・メイ候補(当時)を恐れさせたアンドレア・レッドサム候補は「私のほうが首相にふさわしい。なぜなら、私は子どもを育てたからだ」と、メイ候補を侮辱する失言を犯し、党首選から撤退に追い込まれた。「EU離脱派のヒロイン」扱いされて、無責任に言いたい放題の時は調子がよかったが、首相候補になった時、「言っていいことと悪いことの区別がつかない」という経験不足を露呈してしまったのだ(本連載第135回)。

 筆者は、蓮舫氏の政治家としての資質・個性を高く評価している。だが、高く評価しているからこそ、現時点での野党第一党の代表就任は早すぎるし、もったいないと思う。おそらく、経験不足からくる「軽率さ」は、彼女を窮地に追い込むことになるだろう。

 蓮舫氏にとって本当に勝負すべき時は、2020年の東京五輪後だ。おそらく「任期延長」となり東京五輪を仕切る安倍晋三首相の後継が、稲田朋美防衛相と野田聖子元郵政相の争いになる時だ(第138回)。そして、五輪を終えた小池百合子東京都知事も参戦してくるだろう(第137回)。その時まで、蓮舫氏が経験不足を露呈することなく野党第一党の代表の座にとどまっていられるだろうか。本当は、東京五輪までは、表舞台に出ることなく、政策を練り、人脈を作る研鑽を積んでおいたほうがいいように思う。

財政再建派の3候補は、誰も財源問題に踏み込めず
民進党は「万年野党への道」を歩むのか

 蓮舫新代表は、野党共闘を推進した岡田克也前代表の路線を基本的に引き継ぐとみられている。野党共闘については、基本政策の一致がなければ共闘は組めないというのは、代表選の3候補に共通した見解だった。だが、共闘を今後どうするかは曖昧なままで、代表選の具体的な争点にならなかった。要は、基本政策の一致が重要という「正論」の一方で、選挙戦略としての野党共闘に一定の効果があったことは確かなので、これを捨て去ってしまうことには躊躇があったのだろう。