公取委の提言を受ける形で、政府は10月6日に開催した規制改革推進会議(議長・太田弘子政策研究大学院大教授)で、「人材」「投資等」と並んで「医療・介護・保育」の作業部会の新設を決めた。「医療・介護・保育」部会(座長・林いづみ弁護士)では、混合介護を容認する方向で検討されそうだが、抵抗勢力は強く実現までに紆余曲折が予想される。

 とりわけ、従来型の「福祉」に固執する業界人からは反発が強い。保険外サービスへの違和感が未だに強く、「お泊りデイサービスはその典型。不必要な保険内サービス(デイサービス)の回数を増やす誘発効果をもたらした」と主張する。

 実は、「お泊りデイサービス」は、要介護者の急な泊りへの対応が介護保険サービスになかったため、全国で普及した。利用者家族の潜在的な願望に応えた優れたサービスであった。東京都がやむなく公認し、国が後追いした。

 保険内の「デイサービス」と保険外の「泊り」を組み合わせ、利用者家族からの要望の高かった緊急時の泊りにいつでも応じる態勢を整えた。混合介護の成功事例だろう。

 事業者の中には劣悪な宿泊状況があったり、宿泊料金が低価格なため批判を浴びたが、全体としては消費者利益に適った新サービスの創出と言えるだろう。

 少しでも既存規則からはみ出た枠外活動に踏み出すと目くじらを立てる「専門家」は、どの業界にもいる。だが、どちらが生活実感に近いのかが見極めどころだろう。

今後は社会福祉法人の見直しが検討されるべき

 報告書はこのほかに、自治体が特別養護老人ホームに指定管理者制度を導入して株式会社に運営を委ねることや自治体の補助金投入は法人による差別を止めるべき、さらに、税制の特典の見直しなどを提言している。

 いずれも社会福祉法人への優遇問題である。介護保険前の措置制度時代には自治体と社会福祉法人だけが運営者だった。介護保険法によって、原則として株式会社やNPO法人など全法人にその門戸が開放された。

 だが、現実は社会福祉法人を特別視し、優遇制度が続いている。公取委は「介護分野は市場原理を通じたサービスの質の向上が期待され……多様な事業者による創意工夫の発揮や活発な競争を促すことにより、消費者利益を確保することを目指す競争政策との親和性が高い」とみている。その通りである。「混合介護」は市場競争への突破口になる。

 市場原理をとりこめば、介護サービスは大産業に発展する可能性が高く、早急に報告書の提案が実行されるべきだ。

 そのためには、阻害要因のひとつである社会福祉法人の見直しが検討されるべきだろう。制度上の廃止、あるいはNPO法人への移行を含めた議論が必要かもしれない。