マーケターも編集者も同じことをやっている

佐渡島 森岡さんのご著書を読ませていただいて、森岡さんは、自分の仕事をマーケターとおっしゃっているんですが、実は「編集者」と、ほぼやってることは同じだなと思ったんです。

森岡 そうですね。たしかに、同じですね。

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』(森岡毅/KADOKAWA)

佐渡島 何が違うかといえば、メディアが違う。森岡さんはテーマパークで、私は本。本は、「宇宙」とか「教育」とかっていう多様なジャンルから選んできて、それを作家に提案して作る。これがテーマパークだと、ジャンルが「宇宙」とかではなくて、『ハリー・ポッター』という、もう一段階「具体」の階層が上がったものとなるわけです。

森岡 そうですね、具体化していますね。

佐渡島 具体化しているものを選んできて、その世界観を理解して、テーマパークに引き付けている。

森岡 はい、まさに。

佐渡島クリエイターの持っている世界観を世間がわかるように変換させるという仕事という意味で、マーケターと編集者はほぼほぼ一緒なんだなと思ったんです。

森岡 そうですね。立っている舞台に多少の違いはあれ、やろうとしてること、やっていることは酷似していますよね。だから、多分同じ「プロデューサー」なんですよね。

佐渡島 そうですね。

 いままでは、プロデューサーの分野が、本と、映画、ドラマ、イベントくらいしかなかった。しかし、これからは作家の世界観を、SNSや物販などさまざまな分野で伝えていけるプロデューサーが必要になると感じています。

『宇宙兄弟』のグッズには、キャラクターのイラストがポンと描いてあるようなことはないんです。現実とその作品をつなぐためのチケットみたいなイメージで作っているので、今までのグッズとはずいぶん違う。そのチケットのアレンジが、プロデューサーの役割となっています。

(明日に続きます)