その結果、若手がより成長するための指導行動として9つの観点から、38の成功セオリーを抽出することができました。そして、1年目の社員と、2年目から5年目までの若手とでは、「OJT実施上の留意点」が少し異なることもわかりました。
さて、若手を成長に導く指導行動をPDCAサイクルにあてはめて分類・整理してみました。
PLAN、すなわち「目標設定」については、私たちの調査によれば、若手社員との間で「短期・長期の目標を区分し、イメージを共有する」こと、「目標達成に至るプロセスを理解させる」ことが、若手の成長にプラスに働いていることがわかりました。
これは新入社員から5年目の社員まで、共通する目標設定における特性ですが、1年目社員と、2~5年目の若手とでは、異なる特性も抽出されました。
1年目社員の目標設定には「身に付く
スキルの理解」「目標の可視化」が有効
1年目社員の場合、その業務を経験することによって「どういうスキルが身に付くのかを理解させる」こと、「文書化・チャート化して目標を可視化する」ことが、成長にプラスになることがわかりました。
考えてみれば、手間がかかります。なんだか面倒な気がしなくもない。
しかし、それを実行しているOJTリーダーのもとで、若手が成長しているというのが、調査に基づく事実です。
2年目から5年目の若手の場合は、「本人の能力より少し高い目標を立てさせる」、つまりストレッチした課題を与えることと、「優先順位を考えて計画を立てさせる」ことが、仕事力を向上させることがわかりました。
私たちが、その昔に経験した、「いいからやれ!」では若手社員は育ちにくい。「その業務には、いかなる意味と意義があり、それを通して、どんなスキルが身につくか」を明示することによって、新入社員は不安を軽くし、モチベーションを向上させることができる。