どんな理由でも銃を持つ権利を
ヒラリーに制限されたくない

ミシガン州が数十枚だけ発行した「野生の狼のハンティング許可証」を持つ
自ら仕留めた野生の熊。撃った獲物の肉はすべて食べるのが信条
狩猟で仕留めた獲物がオフィスのあちこちに

 軍からの奨学金で大学の学費を払っていたジョン。親に学費を出してもらっているバークレーの学生たちのデモに接することは、ある種の階級闘争でもあった。

 そして50年が過ぎた。今彼のオフィスには、狩猟で仕留めた野生動物たちの剥製が所狭しと飾られている。畳2畳分くらいの大きさがある熊の皮の剥製、カリブーに鹿、ヘラジカに七面鳥にビーバーと、まるで野生の王国さながらだ。

 ジョンはミシガン州から「野生の狼」を狩猟できる特別なライセンスを正式に与えられた第1号のハンターでもある。自分で撃った動物は、必ずその肉を料理して全て食べるのが彼のルールだ。最近は13歳の孫娘が初めてのユースハンティングで8本角のある鹿を仕留め、そのお祝いもした。

「ビーバーも、鹿も、熊も、自分のライフルで撃ち、肉は家族で全て食べる。狼はまだ仕留めてないから、食べたことがないけど。合衆国憲法で保証されている銃を持つ権利を存分に行使しているし、14人いる孫たちにも狩猟を教えている。どんな理由でも銃を持つ権利をヒラリーに制限されたくないんだ」

 市民が銃を所有する権利を死守すると公約するトランプ。それを後押しするのは全米ライフル協会だ。全米ライフル協会の終身会員であるジョンの財布の中には、常に銃を携帯するための州の許可証が常に入っている。購入した銃は外部に売らず、親戚内で譲渡してきた。

 クリントン候補は、国民が銃を持つ権利を保護しつつも、銃を購入する際のバックグラウンドチェックを強化すべしという考えだ。

「バックグラウンドチェックは、自分も銃を購入する度に受けているから、どんどんやってくれて結構だ。だが、銃の規制は州政府に任せるべき。ヒラリーは連邦政府を巻き込んで、セミオートマティックのショットガンの売買を規制しようとしている。セミオートマティックは熊や鹿、カリブーを撃つのに必要な道具なんだ。禁止されたら狩猟するのに困るんだよ」

 スポーツとしての狩猟が生き甲斐というジョンは、オハイオ州のクリーブランドで夏に行われた共和党党大会のフロアでも、トランプの演説を聞きながら、全米から集結したハンティング仲間たちと密に情報交換していた。「アラスカ州の連中からカリブー狩猟に誘われたから、お返しに彼らをミシガンの秋の猟の解禁シーズンに招待したよ」と語る表情は、まるで少年のようだ。

 ヒラリー・クリントン大統領が連邦政府を巻き込んで銃規制に乗り出し、リベラル派の最高裁判事を任命すれば、憲法改正への道筋ができてしまう、というのが、保守派ハンターたちが恐れるシナリオだ。

 最近、トランプの数々の暴言に、多くの共和党エスタブリッシュメントたちも反旗を翻しているが、そこは気にならないのだろうか。