各金融機関に配られた個人型DCの販促案。これを基に、協賛金の拠出を求められている Photo by Akio Fujita

 来年1月から専業主婦や公務員も対象となり、原則60歳未満なら誰でも加入が可能になる「個人型確定拠出年金(個人型DC)」。9月16日に愛称が「iDeCo(イデコ)」に決まり、話題となっている。

 個人型DCは、60歳まで引き出せないという制約はあるものの、掛け金の全額が所得控除の対象となり、運用益は非課税、受け取り時には税制面での優遇があるというお得な制度。普段は金融商品に厳しい著名な金融関係者たちが、こぞって勧めるほどだ。

 一方の銀行や証券、保険会社などの金融機関にしても、マイナス金利の影響で有利な金融商品が少ない中、営業攻勢を強めており、「貯蓄から投資」への流れを後押しするとの期待が高まっている。

 ところが、だ。個人型DC制度の普及を担う厚生労働省からの“ある要請”に対し、各金融機関が困惑しているというのだ。

「協賛金をお支払いいただきたいので、役員の方にお会いしたい」

 9月中旬、厚労省の幹部から突然、こう書かれたEメールが各金融機関に届いた。

 理由は、制度の普及のために20億円の販売促進計画を立てて、5億円の補正予算も決まったが、足りない15億円分を各金融機関に負担してほしいというもの。

 併せて、刷り上がったばかりの大量の告知ポスターを、一方的に送りつけられているという。