リアル二刀流が
ビジネスを伸展させる

 私が最初に実施した二刀流は、社員向け研修トレーナーと社内広報担当だ。社員向けの研修のトレーナーとして、社員の能力開発に貢献するために、全社員の朝礼をハンドルするようになった。

 例えば、全国各地の社員が生み出したベストプラクティスを紹介するといった能力開発に近い内容のこともあれば、社員相互の情報共有といった社内広報の役割もあった。「トレーナーと社内広報を兼務するのは、企業規模が小さく、組織が未分化で、幹部がさまざまな役割を兼務しているような企業での話でしょう」という反応が返ってくることもある。しかし、上記のケースは、社員数5000人の金融機関での話だ。

 社内広報と別の業務の組み合わせの二刀流は、他の会社でも実施した。人事部長と社内広報の二刀流時代では、社内報を人事部長が自ら記者・編集者・印刷担当となって作成した。

 社員の認知度を高める一媒体として、顧客からのフィードバック、個人の活躍、チームの活躍を人事部長が取材して掲載していったのだ。この取り組みに対して当初、「人事部長の職務権限を逸脱した異端の取り組みだ」、「人事部長のコストをかける業務とはいえない」、「若手が担えるようになるまで実施すべきではない」などの非難が殺到した。

 それに対して私は、「社内報は、人事部長の責任権限で規定されている社員のRecognition促進のための業務であること」を、マネジメントメンバーと再確認し、他のジュニアメンバーが担えるようになるまでの期間、私自身が人事部長業務に影響を与えず、むしろRecognitionを強化するための有効な仕掛けとして実施することを申し合わせた。

「社内報作成の予算やリソースが広報部にも人事部にもない」、「メール配信か、Web配信か慎重に検討すべき」、「誰を出すべきか決まらない」…などと、ああでもない、こうでもないと議論が続く中、アクションしないことのデメリットを説きながら、社内報作成を進めた。

 これらの経験をふまえて、別な社内業務をリアル二刀流で実施することは、業務が“三遊間に埋もれて“しまったり、どちらをどのようにやるべきかなどと思いあぐねてしまったりする弊害を解消することに、大いに役立つと思うように至った。しかし、それ以上に効果が高かったのは、社内業務と社外業務のリアル二刀流である。