あなたはコンビニ派、それともドラッグストア派?これまで「業態が違う」として、まったく別物に見られてきたコンビニエンスストアとドラッグストア。しかし、最近では両者の商品政策やサービスが急接近、その垣根は崩れてきている。コンビニ業界は「ドラッグがコンビニ市場を侵食し始めている」と“警戒体制”に入っている。これまで拡大を続けてきたコンビニが、ドラッグに小商圏型小型店の王者の地位を明け渡す日は来るのか――。(流通ジャーナリスト 森山真二)
もはや看過できない
ドラッグストアという存在
川崎市多摩区のあるセブン-イレブン・ジャパンの店舗。店内に入ると通常のコンビニとは明らかに違った光景に出くわす。店舗前面の窓側にあるはずの雑誌コーナーがないのだ。お決まりの雑誌コーナーを撤去し、代わりにシャンプーやボディソープ、トイレットペーパーなど日用品や化粧品が通常のコンビニでは考えられないほど並んでいる。
実は同店はセブン-イレブンが将来の商品政策やサービスを研究するイノベーション推進部の実験場だ。
すでにセブン-イレブンでは、女性客が全体の50%近くまで拡大しているが、今回の実験は女性客の増加に伴い、ドラッグストアに流れている日用品や化粧品購入の顧客を引き込むという狙いがある。またドラッグが加盟店の近くに開店した場合に備え、対抗できる品ぞろえや価格体系を研究する狙いがあるとみられている。
それだけ、コンビニにとってドラッグはもはや看過できない存在として迫っており、危機感もあるのは確かだ。
コンビニはすでに全国5万店を超え、市場規模も10兆円に到達したとされている。これに対し、ドラッグは2013年度の時点では、経済産業省の調査で全国に約1万7500店超、市場は6兆円だった。それが調査からわずか2年、現在は店舗数で2万店に迫り、市場も6兆5000億円程度まで拡大していると、業界内では予想されている。
ドラッグとコンビニが成長するには
それぞれの顧客を取り合う構造に
それでもまだ、ドラッグはコンビニを凌駕するまでの規模ではない。しかしコンビニやドラッグの市場が飽和を迎えるなかで、ドラッグが成長を続けるにはコンビニの顧客、コンビニはドラッグの顧客を取り込まなければならない。