今回のテーマは「美女と社会貢献」である。筆者の本業であるマーケティングにおいては、美女の動向は非常に重要なテーマである。こんなことはおそらく、どこのマーケティングの教科書にも書いてないはずだが(少なくとも筆者は見たことがない)、消費トレンドを知るためには美女の動向を探るのが一番手っ取り早いし、的確でもある。
簡単にいえば、ある生活シーンに美女が突如として現れ始めたら、それは大きな消費トレンドが生まれる前兆である。実証された理論でないが、経験則的にはそうである。読者もなんとなく納得できるのではないだろうか。
たとえば、ゴルフ、カラオケ、温泉などがそうである。かつて、これらはオヤジの専売特許、ダサイ遊びの代名詞だったが、若い美女が進出するようになって、一気に国民的なブームになった。バブル期のゴルフブームは凄まじく、都内のゴルフ練習場では、夜中の12時を過ぎても若者や怪しげなオヤジで溢れかえっていたし、温泉は今でも若い女性に大人気だ。
社会貢献が放つ「色気」。
それを嗅ぎ分けるセレブたち
昔から「新しいことは女性と若者から始まる」と言われるが、特に美女には新しいトレンドを察知する独特の嗅覚が備わっていると思われる。美女がどこかに集まったり、何かを始めれば、女性もそこに憧れ、男も集まってくるからブームになる、という考え方もあるが、ことはそう単純ではない。
何事もブームになるには、そのモノやコトや場所に、独特の「色気」が生じるものだが、美女はその「色気」に敏感なのだと思う。最近は、チャリティイベントやボランティアの世界に美女やカワイイ女の子が集まっているのも、社会貢献が独特の色気を醸し出しているからだろう。
こういう色気に最も敏感なのは、セレブと呼ばれるような人たちで、アンジェリーナ・ジョリーやマドンナなどハリウッドスターやポップスターが社会貢献活動に情熱的に取り組んでいる。90年代に「世界で最も美しいボディを持つ」と称されたトップモデルで、現フランス大統領夫人のカーラ・ブルーニもセレブアクティビストとして有名だ。いまや、世界のセレブ業界では社会貢献活動をしていないと、そのソサエティに入ることすらできないような状況だ。
その世界のセレブ界の頂点に立つのがヨルダンのラニア王妃である。完璧な美貌と抜群のファッション・センス。MBAホルダーであり、グローバル金融企業で働いていた元キャリアウーマン。現在は四児の母。非常に高い社会意識を持ち、自分自身のNGO「ヨルダン・リバー財団」を設立してヨルダンの貧しい女性や子どもたちを支援するほか、国連財団が行なっている「ガール・アップ・キャンペーン」の推進リーダーに就任するなど、女子教育を最重要テーマとしてさまざまな活動を国際的に行なっている。イスラム社会において、王妃の立場にある人間が女子教育の重要性を説くことは、社会的なインパクトも大きく、非常に先進的なことだと考えられる。
社会貢献に関する受賞歴も豊富で、2010年の「James C. Morgan Global Humanitarian Award」も受賞している。また、ビル・クリントン元米大統領が推進する「クリントン・グローバル・イニシチアブ」や、ダボス会議の主催団体である「世界経済フォーラム」のボードメンバーも務めている。
さらにラニア王妃は、ソーシャル・メディアを活用して世界の人々に直接メッセージを発信しており、ツイッターのフォロワーは約140万人(アカウントは@QueenRania)。公式ウェブサイトも運営している。