第12次五ヵ年計画はサービス業が牽引
上海ディズニーランドはその目玉になれるか
上海万博閉幕の熱気も冷めやらぬ昨年11月5日、地元紙「東方早報」は一面でミッキーマウスのイラストを掲げ、「上海ディズニーランド(SDL)が調印へ」と報じた。
この、世界で6番目となるディズニーランドは、コアのテーマパーク1平方キロメートルと関係施設を併せた4平方キロメートル、上海申迪(集団)有限会社(※)が57%、米国ウォルト・ディズニー社が43%の出資比率で、約250億元の投資金額を見込む。開園は第12次五カ年計画の期間中の2014年を予定しているが、第3期が完工する25年後には、世界最大のディズニーランドになると言われている。
※上海市政府傘下の合弁持ち株会社。資本金3億元。出資比率は陸家嘴集団(45%)、広電集団(30%)、錦江集団(25%)。
上海市政府副秘書長の范希平氏が董事長に就任することからもわかるように、これは上海市政府の肝いりプロジェクトでもある。上海経済の次なる牽引役として、また2011年にスタートする第12次五カ年計画の支柱にも据えられている。
輸出依存型経済から脱却を図ろうとする中国では、産業構造の転換が求められており、上海は第3次産業に厚みを持たせることが課題となっている。上海市政府はこのSDLを産業構造の転換におけるテコに据える狙いだ。
09年の上海市のGDP約1兆5000億元のうち、第3次産業は約8900億元と、現状は6割未満にとどまっている。シンガポール並みの70%にまで引き上げたいところだが、「2020年まででも7割到達は難しい」という見方もある。
それだけに、不動産開発、交通インフラ、飲食やホテルといった商業施設など、サービス業を牽引するSDLには、自ずと大きな期待が集まる。開業による経済効果は中国のGDPを1兆元(約12.5兆円)押し上げ、5~15万人の雇用を生むと試算されている。