「トランプの方がマシ」
マスコミの偏向報道が裏目に

 こうなると、無党派層の心は一気にクリントン氏から離れる。積極的にトランプ氏がいいというわけではないが、「まだマシか」という消極的な支持になってしまうのだ。事実、「週刊新潮」(11月10日号)の大統領選特集によると、ハーバード大のインテリ学生がこんな言葉を述べている。

「ヒラリーは信用できない。トランプの方がまだ信用できるよ」

 この「信用できない」に一役も二役も買ったのが、実は「クリントン・ニュース・ネットワーク」をはじめとする、クリントンびいきのマスコミだったというわけだ。

 大統領選を受けてアメリカの新聞各紙は、「誰もこうなるとは言わなかった」なんて見出しをつけて、トランプ氏の勝利が予測不能だったと頭を抱えている。

 それは無理もない。彼らは彼らなり詳細な世論調査を行ったのだが、自分たちの「報道」の影響を見誤っている。最後の追い上げで、マスコミ各社はトランプ批判を痛烈に展開した。「ニューヨークタイムズ」などは、トランプ氏を「頭が空っぽ」などと評し、中立公平云々以前に、冷静さを欠いた「悪口」まで書いた。

 マスコミは、それらがすべてトランプ氏にとってマイナスになった、と信じて疑わなかったが、実はまったくその逆で、彼らが口汚く罵れば罵るほど、メディア不信を加速させ、ひいてはクリントン不信を助長させていた可能性が高い。そのような意味では、トランプ大統領を誕生させた最大の功労者は、「クリントン・ニュース・ネットワーク」をはじめとする「偏向メディア」といえるのだ。

 おそらく、トランプ氏はこの動向を見極めたうえで、誹謗中傷合戦を行っていたはずだ。若い頃からメディアに追いかけまわされ、人気テレビ番組のホストも務めていた彼は、メディア戦略を熟知している。それをうかがわせる言葉が、自伝のなかにある。

「人と違ったり、少々出しゃばったり、大胆なことや物議をかもすようなことをすれば、マスコミがとりあげてくれるということだ」(トランプ自伝)

 これを実践したのが、指名争いの序盤にみせた「暴言」であることは説明の必要もないだろう。

 おそらく「トランプ大統領」は、史上最もメディア操作に長けた大統領になる。その時、この異形の権力者の「暴走」をマスコミが止められるのかは、正直怪しい。これまでのオールドメディアが得意としていた伝統的なネガティブキャンペーンや、評論家を用いた印象操作が通用しないからだ。

 まずは史上最低まで落ち込んだ信頼をどう取り戻すのか。アメリカのマスコミの反撃に注目したい。