「22~2時」が睡眠のゴールデンタイム説はウソ!?
そして、睡眠の質を最大限に高めるためにまず重要なのは、寝ついてから180分で、どのような睡眠を得るかということである。
人間の睡眠は、(人によってバラつきはあるが)約90分周期で「脳の眠り(ノンレム睡眠)」と「体の眠り(レム睡眠)」を繰り返す。
この繰り返し2回分、つまり眠りについてから180分の睡眠がとても重要になる。この時間に細胞の傷んだ部分を修復する成長ホルモンが多く分泌され、筋肉や骨、脳の細胞を増やしていくからだ。
成長ホルモンは、筋肉や骨の成長を促すだけでなく、体の疲れを回復したり、傷んだ組織を修復したりする。さらに脂肪を燃焼させたり、昼間に受けた紫外線による皮膚のダメージを回復したり、新陳代謝を促したりと、美容やアンチエイジングにも大きくかかわる働き者のホルモンだ。
成長ホルモンは、「22~2時の180分に多く分泌される」という説がある。しかし実際には、時間を問わず、入眠してから180分の間に深いノンレム睡眠に入ると、シャワーのように大量に成長ホルモンが分泌される。
つまり、「筋肉や骨の成長を促す」「体の疲れを回復する」「体内の傷んだ組織を修復する」「脂肪を燃焼させる」「皮膚のダメージを回復する」「新陳代謝を促す」といった成長ホルモンの効能を最大限に獲得するには、ふとんに入ってから180分に睡眠の「ピーク」を持ってくればよいということになる。
この180分をぐっすり眠ることができればできるほど、脳と体の疲れがとれ、翌日にすっきりと目覚めることができるのだ。
あなたの疲れがとれない理由
成長ホルモンは、成長期に最も多く分泌される。寝る子は育つといわれるのは、これが理由だ。分泌のピークは18~20歳で、30歳からは急激に減少する。そして40歳では、20歳のころの約40%まで激減する。
「たくさん寝ているはずなのに疲れがとれない」という感覚を抱くのは、この分泌される成長ホルモンの減少が大きく影響していると考えられる。そのためにも、入眠から180分の睡眠の「質」をいかに高めるかが勝負だ。
どう質を高めるか、その具体策については、次回以降に紹介していこう。