たとえば……

 「調査と称して、下着の色や形、生理用品までしつこく聞く」
 「社員旅行で、上司のおじさんと芸者のおばさんが、ほとんど素っ裸でチークダンスを踊るのを見なくちゃイケなかった」
 「女性の働く権利の話をしていたら、デスクが唐突に海外赴任時に女を買った話を始めた」
 「通りすがりに香水のにおいを嗅がれる」
 「あぶらぎったおじさんが、一本ン千円のスタミナドリンクを買いに行かせては『アレに利くんだ』と言ってニヤッとする」

 確かに肉体関係を仕事に絡めて要求するなどという、真っ黒な事例から比べたら、悪意の程度は高くはないが、それでも四半世紀の時間をかけて認識は変わっている。今どきの時代の基準からすれば、すべてアウト。間違いない。

 日本においてセクハラが法律で規定されたのは97年、改正男女雇用機会均等法の成立を待たねばならなかった。セクハラが市民権を得たこの年、セクハラや夫婦別姓問題で女性の立場を代表した弁護士がスポークスマン的に頻繁に新聞に取り上げられている。元社民党首、福島瑞穂参議院議員が世に出るきっかけであった。

ネット時代の走りだった
懐かしき「パソ通」

 インターネットが一般に公開されていない当時、パソコン通信が少しずつ浸透していた。パソコン通信とは、通信を提供する会社にパソコンを繋ぐところまでは同じなのだが(ただし電話回線を使い、データは音声に変換して伝送した)、その繋いだ先のコンピュータが外に繋がっていない、パソコン通信会社内だけのネットワークであるところが、インターネットと決定的に違う。だからメールもパソコン通信内にしか届かないし(後に届くようになった)、コンテンツも各サービス限定だ。

 当時、PC−VAN(NEC)、アスキーネット(アスキー)、Nifty-Serve(ニフティ)、日経MIX(日経BP)などが大手としてサービスを展開していた。個人所有のパソコンも、それを使った通信も、そしてオンラインのコミュニケーションも珍しい時代、新聞は新しい時代の到来とばかりに、その素顔を紹介している。