FXなどで日本の個人投資家に人気の高い豪ドルですが、このところは上値の重い値動きとなっています。
これには、豪州の大洪水や金(ゴールド)相場の下落の影響もありますが、対円ではわかりにくいものの、豪ドルが対米ドルなどで「異常な」上がり過ぎになっている影響がありそうなのです。
「2つの顔」を持っている最近の豪ドル高
豪ドルは対円では2008年の高値をまだ2割も下回った水準で推移しています。しかし、対米ドルではすでに2008年の高値を大きく更新しました。
こういったことからも想像できるでしょうが、豪ドルの過熱感や「上がり過ぎ」懸念は対円と対米ドルではまったく異なっていて、対円での豪ドルに「上がり過ぎ」懸念はありませんが、対米ドルでは明らかに「上がり過ぎ警戒域」に入っているのです。
これは、5年移動平均線からのカイ離率で見るとわかりやすいでしょう。以下の資料1、資料2をご覧ください。
豪ドルの5年線からのカイ離率は、経験的に、対円でも対米ドルでもプラス20%を超えると中長期的に「上がり過ぎ警戒域」となりますが、直近では、対円は小幅マイナスなのに対し、対米ドルはプラス20%を超えている のです。
つまり、
対円の豪ドル高に過熱感はないが、対米ドルでは過熱感に要注意
と言えそうなのです。
豪ドルの総合力も
「上がり過ぎ警戒域」に達している
過熱感のない対円と、過熱感の強い対米ドルといった豪ドル高の「2つの顔」ですが、どちらが豪ドルの「本物の顔」なのでしょうか?
この点について、豪ドルの総合力を示す実効相場の5年移動平均線からのカイ離率で見てみると(資料3)、経験的にプラス10%を大きく超えてくると「上がり過ぎ警戒域」となりますが、それが昨年末時点でプラス14%まで拡大していました。
その意味では、豪ドルの総合力も「上がり過ぎ警戒域」に達しているようなのです。
以上のように見てくると、豪ドルが最近にかけて上昇一服気味になっているのは、対米ドルなどで「上がり過ぎ」の限界圏に達している影響があるのでしょう。
それでは、豪ドルの対米ドルなどでの「上がり過ぎ」が修正に向かった場合、それに巻き込まれるリスクはあるのでしょうか?