次世代のビジネスパーソンには、業務の専門知識だけではなく、経営をよくする会計の視点を通じて「自分の仕事を数字でとらえる力」、そして「数字で判断して、改善のための提案ができる力」が必須になります。
本連載では、11月11日発売の『マンガで入門!管理会計が面白いほどわかる本』(作・森岡寛、画・紅乃香菜)の内容を紹介しつつ、売上とは、コストとは、利益とは?固定費、変動費の違いとは?限界利益とは、貢献利益とは等、経営をよくする会計のしくみと基本について、著者の森岡寛氏がわかりやすく解説いたします。
売上高の大きい商品が、そのまま売れ筋商品とは限らない
皆さんの会社でも、取り扱う商品アイテムや得意先が複数存在していると思います。
また、商品や得意先だけでなく、複数店舗を経営していたり、営業社員が複数働いているケースなどがあります。
このように、一つの商品の売上高、一つの得意先の売上高、一つの店舗の売上高、一人の営業社員の個人別売上高という区分で、売上を分解することや平均値を出すことが可能です。
また、売上は「客数×客単価」でも分解できますし、企業の現場においていろんな場面で応用できます。
しかし、売上高の大きい商品・店舗・営業社員・得意先が、そのまま売れ筋商品・優良店舗・優績社員・優良顧客と断定するのは、短絡的にすぎます。
なぜかと言いますと、会社は売上を上げることが目的ではなく、利益を出して黒字にすること、キャッシュフローを良くして、手元資金を潤沢にすることが重要だからです。
どの会社も売上が上がっているから赤字でもよい、売掛金の回収が遅れてもよい、ということはありません。
以下の例をご覧ください。
例)
商品A:売上1億円 限界利益2000万円(限界利益率20%)
商品B:売上5000万円 限界利益2500万円(限界利益率50%)
売上だけで比較すると、商品Aが優れているように思います。
でも、限界利益を見ると商品Bが限界利益率・限界利益額の双方で優れていることがわかりますね。