次世代のビジネスパーソンには、業務の専門知識だけではなく、経営をよくする会計の視点を通じて「自分の仕事を数字でとらえる力」、そして「数字で判断して、改善のための提案ができる力」が必須になります。
本連載では、11月11日発売の『マンガで入門!管理会計が面白いほどわかる本』(作・森岡寛、画・紅乃香菜)の内容を紹介しつつ、売上とは、コストとは、利益とは?固定費、変動費の違いとは?限界利益とは、貢献利益とは等、経営をよくする会計のしくみと基本について、著者の森岡寛氏がわかりやすく解説いたします。
そもそも財務諸表は、何で構成されているのか?
http://www.cashflow.co.jp http://www.zaimu.net
会社の業績を把握するための資料として、財務諸表(いわゆる決算書)があります。
これは、主に以下の4点で構成されます。
1.貸借対照表、2.損益計算書、3.キャッシュ・フロー計算書、4.株主資本等変動計算書。
それぞれの内容について、簡単に説明いたします。
1.貸借対照表…会社の決算期末時点における資産(現預金、得意先への売掛金などの債権、土地・建物といった固定資産など)、負債(仕入先に対する買掛金などの債務、経費の未払金、金融機関からの借入金など)、純資産(資産と負債の差額のこと。出資者からの資本金や、過去の利益の蓄積による剰余金などによって構成されています)。
2.損益計算書…会社の経営成績を5つの利益によって把握するための計算書です。5つの利益とは、以下の項目です。
(1)売上総利益…小売業の場合、本業である売上から売上原価(商品仕入に在庫の増減を加味した数字)を差し引いて算出します。製造業の場合は製造原価、運送業の場合は運送原価が売上原価に該当します。売上総利益は、商品の売買益などを簡易に集計するという意味で通称「粗利益」(あらりえき)とも言われています。
(2)営業利益…売上総利益から、販売に関する費用や社内管理のための費用(これらを総称して販売費および一般管理費、略称:販管費)を差し引いて算出します。本業でどれだけ儲かっているのかがわかる利益です。
(3)経常利益…営業利益に本業以外で発生する営業外損益(主に金融機関との取引で発生する受取利息や支払利息、その他雑収入や雑損失、受取配当金などが該当します)を加減して算出されます。その期に発生した特別要因を含まず、毎年経常的に発生する要因のみを加味した利益ということで、経常利益は会社の業績を評価するうえで重要視されています。
(4)税引前当期純利益…経常利益に、臨時的にその期に発生した項目(固定資産や投資有価証券の売却損益、役員退職金など)を加減して算出される利益です。その期の決算で、経常的な項目と臨時的な項目を含めてどれだけの利益が出たのかがわかります。
(5)当期純利益…税引前当期純利益から法人税・住民税・事業税などの税金の負担や、税効果会計による調整額を加減して算出された利益です。この利益金額が損益計算書で算出される最終利益となります。