2月4日(金)に発表となった1月の米国雇用統計の結果などを受け、米ドル高の動きとなっています。
まだ微妙な面は残るものの、着実に米ドル高の可能性が広がろうとしていると思っています。
強弱マチマチの結果となった
1月の米雇用統計だが…
2月4日(金)に1月の米国雇用統計が発表されましたが、非農業部門雇用者数(NFP)は、事前予想の14万人増を大きく下回る3万人増にとどまりました。
その半面、失業率は9.5%との予想に対して、結果は9%と大きく改善しました。
NFPはネガティブ・サプライズ、失業率はポジティブ・サプライズといった感じで、両極端のサプライズという結果になったわけですが、これに対して相場は「株高・金利上昇・米ドル高」と反応しました。
この結果を見る限り、NFPのネガティブ・サプライズは特殊要因として黙殺され、失業率のポジティブ・サプライズに反応した形と言えますが、もちろん、私はそのような解釈でよいと思っています。
ただ、基本的に、この勝負は雇用統計の結果発表前から、半ばついていたのではないかと思っています。
米雇用統計の発表前から
相場の方向性は決まっていた
その1つのカギは、明らかに米国の金利でしょう。
「資料1」は、米国の長期金利(10年もの国債の金利)の推移ですが、年末年始から1カ月以上も続いてきた3.3%前後での小動き、すなわち「レンジ相場」は、雇用統計発表の数日前に3.5%を突破しており、レンジを上放れてきました。
米国の長期金利は昨年12月にかけて急上昇していましたが、このところは一服して「高原横ばい」となっていました。
このような動きが長く続いたことについて、私は、米国の長期金利が短期的に「異常な上がり過ぎ」となり、その調整が必要だったからだと考えてきました(「『逆張りの2月』に米ドル高は進むのか?そのカギは米金利とユーロが握っている!」を参照)。
「資料2」は、米国の長期金利の短期的な行き過ぎをチェックする90日移動平均線からのカイ離率です。
これを見れば、昨年12月にかけての米国の長期金利の上昇が過去30年間で1~2回しかない「異常なもの」で、その「異常な上がり過ぎ」が最近にかけて少し修正されてきたことがおわかりいただけると思います。
私が言いたいのは、昨年12月に米国の金利上昇が一段落したのは、米国の景気回復の判断を迷ったということではなく、もっと単純なことで、スピード調整が必要なだけだったということです。
つまり、スピード調整のメドさえつけば、米国の金利は「上昇」という方向性に変わりはないと思っています。