部下とのコミュニケーションの
ために手帳を活用する
――『和田裕美の営業手帳2017』には、部下一人ひとりの予定と案件と進捗を書くページがありますね。具体的にどう活用していましたか?
和田 手帳で管理することによって部下全員の「行動量」を可視化していたんです。数字を見れば、「よく頑張っているな」とか、「会社に出社はしているけど、行動は少ないな」とか一目でわかります。「この人、そろそろ辞めてしまいそうだな」なんてことも。一人ひとりの行動スケジュールを見て、個人的に話したほうがよさそうな人をチェックするといった活用法です。
ブラマンテ株式会社代表取締役。IT業界専門の展示会主催会社などにてマーケティングマネジャーを務めた後、1999年にマイクロソフト日本法人に転職。当時、営業・マーケティング部門では数少ない女性の営業部長を務める。約8年間の在籍中、個人および自身が部長を務めた営業グループでプレジデント・アワードを2回受賞。2007年キャリアおよびコミュニケーション支援に関する事業を行うブラマンテ株式会社を設立。著書に『プレイングマネジャーの教科書』『女子社員マネジメントの教科書』(ダイヤモンド社)、『「頑張ってるのに報われない」と思ったら読む本』(WAVE出版)などがある
田島 行動量を客観視して、そこから部下たちのサインをキャッチして、この人はそろそろフォローしておこうかなと判断するんですね。よくわかります。私も実践していました。
和田 部下の人数が増えれば増えるほど、手帳は重宝しました。1ヶ月単位で管理していたので、毎月毎月名前を書き直すんですよ。すると誰が辞めたとか、入れ替わったとか、そういうこともちゃんと頭に入ります。
田島 たしかに、新人さんが入ってきたりもしますしね。
和田 最終的には手帳に入りきらないくらい部下が増えて、紙を継ぎ足して記入していました。
――田島さんの手帳にも部下の予定を書き込む項目がありますね。お2人共通のキーワードです。
田島 私は見開きの左ページにウィークリーの予定を書いて、右ページに自分と部下のTo Doを書き込んでいました。和田さん同様、そこを見て部下への確認事項を管理していました。というのも、モチベーションはデジタルでは管理できないんですよ。手帳を見ながら、今、誰に何を言うべきかを探るという点は和田さんと共通します。
――手帳に限らず、「部下の成果を可視化する」という点で、田島さんが実践されていたことはありますか?
田島 『プレイングマネジャーの戦略ノート術』にも書かせていただいたのですが、月単位で自分のチームの売上の進捗表をプリントアウトして自分のデスクに貼っていました。進捗があると、その紙にバンバン手書きで書き込んでいくんですね。すると知らぬ間にそれがみなさんの“営業進捗ボード化”して、「私は今月OK」とか「今月ヤバい」というのを感じていたようです。
和田 自分だけじゃなく、メンバー同士で意識し合うことが大切ですね。月末に数字が出て来ない企業なんてたくさんありますから……。成約したらボードに花を貼るではありませんが、メンバーの進捗を把握しておくことは大事です。社員数が多い会社では、ランキングも月末になるまでわからない場合もありますし。
田島 ただ、いやらしくならない配慮は必要です。営業部員の名前を進捗表に出すのではなく、A社B社などと、それぞれの部員が担当する企業名を記載していました。
和田 なるほど。わかる人にはわかりますね(笑)。それ大事ですね。
さきほど、営業の進め方に口出ししないとおっしゃってましたけど、例えば田島さんから「B社どうなった?」と聞くことはないんですか?
田島 聞きたいときは聞きますけど、煽りたいために進捗表を貼り出していたわけでもないんです。私が部下の進捗を管理するために始めたことではあるけれど、今振り返ると部下たちは「自分の数字が目標に達していないな」みたいなことを意識しやすかったかもしれません。